“ザッツ・エンタテイメントPART3” ★★☆
THAT'S ENTERTAINMENT! V
(1994年アメリカ映画)

監督:バド・フリージェン、マイケル・J・シェリダン
脚本:バド・フリージェン、マイケル・J・シェリダン
出演:ジーン・ケリー、エスター・ウィリアムズ、ジューン・アリスン、シド・チャリシー、デビー・レイノルズ、レナ・ホーン、ミッキー・ルーニー、アン・ミラー、ハワード・キール

 

「ザッツ・エンターテイメントPART2」の後、18年をかけて制作された「PART3」。
単なる「PART3」ではなく、「PART1」「PART2」に左右されず、新たにMGMミュージカルの歴史を浮き彫りにした秀作という印象です。

MGMミュージカル全盛時には、綺羅星の如くスターが集まった。彼らスターたちによって全盛時代が築かれたこと、その熱気を余すところなく伝える作品に仕上がっています。
当時のミュージカル・スターたちが次々と登場し、当時を、当時の名作を紹介していく構成。おぉっと思うこともないではないですけれど、彼らたちがまだ健在であると知ることができるのは、ファンとしては嬉しい限り。
さすがに「PART2」では元気だったジーン・ケリーがいかにも年老いた風であるのは残念ですけれど、これはもう仕方ないことでしょう。
本作品では、画面を左右2つに区切って比較して見せたり、カットされた場面、ジュディ・ガーランドの「アニーよ銃をとれ」場面も紹介されたりと、単に名場面を紹介するだけに留まらないところが貴重です。

冒頭ミュージカル映画の成り立ちが紹介されますが、トーキーが搭乗して皆唄を唄わざるを得なくなった。当時のスターたちが勢揃いして「雨に唄えば」を唄うシーンがあります。歌詞を覚えていなかったスターもいたというコメントが入った後、スターの顔ぶれが次々と映し出されますが、その中にバスター・キートンがいるのには笑ってしまう。
トーキーが登場して初期のミュージカルは、レビューをスクリーンに再現したもの。ところが筋書きのないミュージカルが観客に飽きられ、次にヴォードビルを映画にもってきたとのこと。
当時のミュージカルにはヴォードビリアン出身者が多い筈ですけれど、そんな経緯を聞けば成る程と、納得できます。

なお、私の好きなエスター・ウィリアムズが登場しているのが、私にとっては嬉しいこと。
エスター・ウィリアムズは、水泳チャンピオンから直接映画に入ったのかと思っていたのですが、水中レビューショーに出演していたところをMGMにスカウトされたとのこと。彼女の水中レビュー映画はやっぱり見応えがあります。古代ローマの彫像が並ぶ水中に彼女が現われると、彫像たちが泳ぎ出し彼女とともに水中で躍り出す場面はアイデアがお見事。

名場面の数々、見ているだけでとにかく楽しい、見応えたっぷりです。
その中でもやはり、ジーン・ケリー、フレッド・アステアは群を抜くなぁ。エスター・ウィリアムズ、ジュディ・ガーランドも充分に見れます。

2005.08.20

    


  

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