| 
     
        フランシス・フォード・コッポラ監督作品ということで、迷うことなく観に行きました。 
        しかしこれは、壮大で、ローマ帝国時代と現代を融合し、近未来社会を描く、かなり複雑な要素を持つ作品、率直に言って驚きました。 
         
        舞台は近未来、アメリカの大都市ニューローマ。 
        とはいえ、ローマ帝国さながらの都市国家、という様相です。 
        そこで圧倒的な権力を持つのは、大富豪クラッスス(ジョン・ヴォイト)。 
        主人公であるカエサル・カティリナ(アダム・ドライヴァー)は、その甥で天才的な建築家。伯父から全幅の信頼を受け、市の都市計画局長の座にあり、理想都市の建築に全力を傾けている。 
        そのクラッススとカエサルに敵対するのは、カエサルの恋人だったワオ・プラチナムと、クラッススの孫であるクローディオ。 
        ワオはカエサルとの結婚を望むが、相手にしないカエサルに苛立ち、クラッススと結婚、クラッススの財産を手に入れてそれを材料にカエサルとの復縁を企む。 
        一方、クローディオは、クラッススから全幅の信頼を受けているカエサルに苛立ち、でっち上げのスキャンダルでカエサルを貶め、クラッススの後継者の地位を掴もうと企てる。 
        一方、そんなカエサルを励まし支える存在となるのが、理想都市計画に反対するキケロ市長の愛娘であるジュリア・キケロ(ナタリー・エマニュエル)。当初はカエサルに不信感を抱いていたが、次第に信頼するようになる、という設定。 
        一握りの富豪が絶大の権力を握る一方、貧困層は苦しみ続けている。 
        そんな貧困層を利用して煽りたて、利権を得ようとするクローディオ。 
        さながら、現代のポピュリスト政治家のようです。 
        もしこのクローディオのような人物がポピュリスト政治家として権力を握ったとしたら、トランプのような大統領になるのではないかと思ったのは、私だけでしょうか。 
        なお、本作においてはローマ社会のような光景が見もの。 
        「ベン・ハー」のような戦車競走もそうですし、巨大な人物像もそう。そしてその人物像が崩れていくシーン、これは見逃せません。 
        単純に面白いと言える作品ではありませんが、この壮大な構想力、近未来の映像美については、称賛したい。 
        2025.06.20 
   |