“動物界 ★★
Le Regne Animal
(2024年フランス映画)

監督:トマ・カイエ
脚本:トマ・カイエ、ポリーヌ・ムニエ
出演:ロマン・デュリス、ポール・キルシェ、アデル・エグザルコプロス

 

フランス映画を観るのは随分と久しぶり。
本作は、人間の身体が徐々に動物へと変異していく奇病が広まった近未来を舞台にしたもの。

主人公はフランソワ、エミールの父子。
妻であり母であるラナが奇病を発生しており、ついに南フランスの専門施設に隔離されることとなります。それに伴い、父子も専門施設である町に移住します。
※奇病を発生し動物化している人間は「新生物」と呼ばれる。
ところが、妻ラナを含む患者を移送中の車が転落事故を起こし、載せられていた新生物たちは森の中へ逃走してしまう。
フランソワは息子エミールを連れ、妻ラナを捜すため度々森に足を踏み入れるのですが、ラナの姿を見つけることはできない。

しかし、エミールの身体にも動物化の兆候が現れ始め、恐怖に駆られたエミールは必死にそれを隠そうとする一方、ひとりで森に足を踏み入れ、動物化しつつある一人と親しく交わっていく。

人間は、自分と異なるもの、理解できないものを如何に拒絶するか、という話だと思います。
動物化した者たちが人間に加害をもたらすのか、それを確かめもせず、問答無用に排斥し、隔離しようとする姿勢が感じられます。
本作とは異なり、SFアクション映画ですが、「X-MEN」でも同様なことが描かれていました。
本作でも同作でも同じく、鳥の翼をもった新生物、超能力者が登場するのが象徴的。それだけでもう異物として差別してしまう。共存へ向けた検討、努力は認められません。

動物化や超能力は極端ですが、多様な結婚のあり様、セクシュアリティも同様のこと。
本作メッセージの根底には、そうした思いがある、と感じました。

2024.11.14

           


   

to 映画note Top     to 最近の映画 Index