“キッチン・ストーリー” ★☆
Kitchen Story
(2003年ノルウェー/スウェーデン映画)

監督・脚本:ベント・ハーメル
出演:ヨアキム・カルメイヤー、トーマス・ノールストローム

 

どう受け留めたら良いのか、戸惑ってしまった映画です。
ノルウェーとスウェーデンの合作映画とのことですが、両国の映画を観るのは多分初めてだと思う。この渋さ、北欧映画らしいものなのか。

1950年代のスウェーデンでは、独身男性の台所での行動パターン調査が行われ、独身男性の家庭に調査員が派遣されたことがあるという。本作品は、その事実を基にしたストーリィとのこと。
ノルウェーで調査に応募した9人の家へ、スウェーデンからトレーラーを引いた車が9台向かいます。
初老の男性イザックも応募した一人。馬がもらえると応募したのに、もらえたのは赤い馬の人形。それもあってか、イザックの家にやってきた調査員フォルケに対し、イザックは最初から不信感と敵対心を抱いています。
フォルケはイザックの家の台所の片隅に高い椅子を置き、その上から台所全体を見渡すように観察を始めます。調査対象の住人と一切口を利いていもならないというのが、調査員に付された規則。
生真面目なフォルケですが、そこはそれ、次第にイザックとフォルケの間に気持ちが通い合うようになります。時々見回りに来る調査の監督者にそれをごまかしていたものの、ついにはバレてしまう。おまけに、フォルケ自身が逆にイザックから観察されていたという事実まで。

コメディと観るべきなのか、感動的な映画と観るべきなのか、う〜ん・・・。
まず、こんな調査方法が行われたということ自体に呆れてしまう。
それに、狭い家の中で共に過ごすことを続けていれば、いくら調査とはいえそこに交流が生まれるのは当然のことでしょう。それ故、だからどうした、と思ってしまう部分がある。
もうひとつ、ノルウェー人とスウェーデン人との間に敵愾心があるらしい。右側通行と左側通行という違いもあるようなのですが、それ以前に第2次世界大戦に参戦したか、しなかったかの違いが大きいらしい。
それでいて、イザックとフォルケが意思を疎通する最初の場面等、2人が心を通い合わせていく過程には絶妙の味わいがあります。天井近く高い椅子の上に座っている男とその下にいる男とのやりとりって、よく考えていると結構可笑しさのあるものです。
ただ、その面白さより物珍しさの方が先に立った、というのもまた事実。

 
2005.01.10

      


  

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