“ジャージー・ボーイズ” ★★☆
Jersey Boys
(2014年アメリカ映画)

監督:クリント・イーストウッド
製作:クリント・イーストウッド、R・ロレンツ、G・キング
製作総指揮:フランキー・ヴァリ、ボブ・ゴーディオ等
脚本:
マーシャル・ブルックマン、リック・エリス
出演:ジョン・ロイド・ヤング、エリック・バーゲン、マイケル・ロメンダ、ヴィンセント・ピアッツァ、クリストファー・ウォーケン、マイク・ドイル

 

トニー賞受賞の同名ヒット・ブロードウェイ・ミュージカルの映画化とのこと。
1960年代から70年代を中心に活躍、ヒット曲「シェリー」のメロディーがすぐ頭に浮かぶ、ニュージャージー出身の4人組グループ“フォー・シーズンズ”の栄光と挫折を描いた物語。

成功の裏には陰の部分もあることは当然ながら、本作品で印象的に感じるのは、光と影が同一体であるということ。
当初グループのリーダー格であったトミー・デヴィートは、やることなすこと全て危ない綱渡りばかり。作曲を担当するボブ・ゴーディオをメンバーに加え、グループ名を変更したところから彼らは成功の道へと乗るのですが、チンピラ的性格といえどもトミーがいなければグループはスタートしなかっただろうし、生真面目で音楽に真摯に向かい合うボブが加わらなかったら成功することもなかっただろう、ということです。
いつも目の前の貧小な儲けしか考えていないというトミーへの批判、先のことばかり考えていて足元のことを考えていないというボブへの批判、それは4人の大きな性格の違いを示す象徴的な例ですが、その両面を抱えてのグループの誕生であり成功であったことを考えると、一体となった光と影のストーリィという印象は間違いではなかったのだと感じる次第。
やはり歌に真摯なフランキー、常に受け身であったニック、4人の胸の内を、時折観客に向けてそれぞれの独白で語る、という仕掛けが実に効果的です。これは映画より舞台に似合う手ですね。

「シェリー」「恋のヤセがまん」「恋のハリキリボーイ」の連続ヒットに、最後の「君の瞳に恋してる」とヒットナンバーを聴けるのも嬉しいことですが、それ以外の余計な音楽がないのも良いところ。そのために、白と黒のモノクロイメージが浮かび上がり、光と影の本物語に絶妙にマッチしています。

極めて良質な音楽映画。クリント・イーストウッド監督、御年84歳だそうですが、元気ですよね〜。まだまだ頑張ってまた良質の作品を私たちに観させて欲しいものです。

※TV番組「タモリ倶楽部」の冒頭で用いられている「ショート・ショーツ」、フォー・シーズンズに加わる前のボブが15歳の時に作ったヒット曲なのだそうです。凄い才能ですね。

2014.09.28

       


  

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