“幸せになるためのイタリア語講座” ★★
Italian for Beginners
2000年デンマーク映画)

監督・脚本:ロネ・シェルフィグ
出演:アンダース・W・ベアテルセン、ピーター・ガンツェラー、ラース・コールンド、アン・エレオノーラ・ヨーゲンセン、アネッテ・ストゥーヴェルベック、サラ・インドリオ・イェインセン

 

6人の男女のラブ・ストーリィを描いた作品。
妻を亡くしたばかりで代理牧師として町にやってきたアンドレス、人の良いホテルのフロント係・ヨーゲン、その友人でプライドを捨てきれず粗暴な振る舞いでレストランをクビになるハル・フィン、病の重い母親を抱える美容師のカーレン、偏屈な父親を抱えるパン屋の店員・オリンピア、ウェイトレスのイタリア娘・ジュリア。
6人各々、必ずしも恵まれているとはいえない生活を送っています。その6人がなんとなく可能性を求めて通っているのが、市が主催するイタリア語講座というストーリィ設定。

孤独でどうにもならない状況の中にありながら、地道に生活を営んでいる、なんとか希望を見出して生きようとする主人公たちの姿がとても切ない。
決して万々歳という結末にはなりませんが、両親の離婚で別々に暮らしていた姉妹が母親の葬儀で出会って初めてそれと判ったり、それとなく恋愛感情が芽生えていくような展開に救われる思いがします。
最後は、父親が小金を遺していたことが判り、受講生9人皆でヴェネチアへ旅行に出かけます。陰鬱だった冬の北国の町に比べ、ヴェネチアの街の前に広がる海の姿は爽快です。

6人の中ではただ一人、イタリア娘のジュリアだけがヨーゲンを慕う気持ちを明快に示していて、他の5人とは違う様子を見せています。しかし、そのジュリアがヴェネチアの街角でヨーゲンから求愛されると、いそいそとした態度を示します。予想外なジュリアを目にして、ほのぼのとした気持ちになります。

人生の辛さ、孤独さを充分味わった男女のささやかなラブ・ストーリィ。
アメリカ映画と違って、相当に地味です。

※ベルリン国際映画祭銀熊審査員賞等受賞作。

2005.02.12

      


  

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