| 
     
        トニー賞にて作品賞を含む4冠に輝いた大ヒット・ブロードウェイ・ミュージカルの映画化。 
        舞台は、ニューヨーク・マンハッタンの北部にある移民の町“ワシントン・ハイツ”。 
        そこで両親が遺した小さな食料品店を営むドミニカ青年のウスナビを中心に、町に住む皆の期待を背負ってカリフォルニアの名門大学に進学したものの挫折して町に戻ってきたニーナ、ファッションデザイナーを夢見て町を出ようとしているヴァネッサら、移民(ドミニカ、プエルトリコ、キューバ等)の若者たちの姿が描かれます。 
        ウスナビはヴァネッサに恋し、ウスナビの友人である黒人青年ベニーはニーナに恋しているとあって、恋愛模様も描かれます。 
        豊かさを求めて故国を出て、ここ米国で成功することを夢見てやってきた移民たちですが、現実は厳しい。 
        その象徴的な存在が、この町に住む移民たちの母親的存在である、独身老女のアブエラ。 
        彼女を慕っているウスナビは、故国ドミニカに帰り、昔父親が所有していた店を立て直したいと考えている。 
        ウスナビ、かなり変わった名前ですが、亡き両親が米国にやってきて初めて目にした船の名前(「U.S.Navy(米国海軍)」を勘違い)から名づけたらしい。 
        町中を大勢で歌い踊りまくる場面は、かのMGMミュージカルを思い出させられます。 
        ただ、ラップ拍子でテンポの速いところは、やはり現代的。 
        移民たちの溢れるエネルギーが余すことなく発散されている、と感じます。 
        名作ミュージカルを思い出させるシーンがあるのも、ミュージカル好きとしては嬉しくなるところ。 
        プール場面には、エスター・ウィリアムズ「水着の女王」を思い出しますし、恋人同士になったベニーとニーナがビルのベランダから踊り出すところはフレッド・アステア「恋愛準決勝戦」、そして最後の場面にはジーン・ケリー「雨に唄えば」を思い出します。 
        ちょっと物足りなく感じたのは、主人公であるウスナビがダンスシーンの主役となっている、というところが少なかったこと。 
        一方、ベニーとニーナが2人で踊るシーン、カメラアングルが見事で、すっかり魅了されました。このシーン、何度でも観たいと思うなぁ。 
         
        2021.07.31 
         
   |