“素晴らしきかな、人生” ★★☆
Collateral Beauty
(2017年アメリカ映画)

監督:デヴィッド・フランケル
脚本:アラン・ローブ

出演:ウィル・スミス、エドワード・ノートン、ケイト・ウィンスレット、マイケル・ペーニャ、ヘレン・ミレン、キーラ・ナイトレイ、ジェイコブ・ラティモア、ナオミ・ハリス

 

邦題がフランク・キャプラの名作と同じなので紛らわしいのですが、原題は全く異なる作品。
主人公はニューヨークで広告代理店を経営するハワード。会社は順調に業績を伸ばしてきたのですが、愛する6歳の娘を不治の病で失って以来、仕事を放りだしたままという状況。
そのハワードと命運を共にして会社を発展させてきた仲間ホイット、クレア、サイモンの3人は、このままでは早晩会社が立ちいかなくなると懸念し、会社買収話に乗って創業者利益を得ようとします。しかし、障害となるのは株式の60%を所有する筆頭株主ハワードの存在。そこで3人は、偶然知り合った舞台俳優3人に依頼して、ハワードが正常な精神状態になく経営者として適格ではないという証拠を捏造し、ハワードの権限を失わしめ、買収話を成立させようと計画します。

そう紹介すると、まるで陰謀、裏切り話のように聞こえますが、本ストーリィにそうした印象はありません。彼ら3人のハワードを心配する心情に偽りはなく、それでもやむに已まれず、という行動なのですから。

本作品の見処は、主人公がどう立ち直るかというストーリィより、演技巧者の役者たちが勢ぞろいし、観応えのある演技をみせてくれることでしょう。
とくに年配の舞台女優ブリジット役を演じるヘレン・ミレン、最後までハワードのことを思って悩み続ける同僚クレア役のケイト・ウィンスレットがお見事。
また、久しぶりに観たキーラ・ナイトレイの、彼女らしい切れのある演技を楽しめることも嬉しい。

また、舞台俳優たち3人が、ハワードの前に現れそれぞれの役どころを演じるという仕掛けが楽しい。比較するのは適切ではないかもしれませんが、ディケンズ「クリスマス・カロル」に登場する3人の亡霊に通じる面白さを感じます。

なお、上記の同僚3人、舞台俳優3人以外に、愛する子供を失って悲しむ人たちをサポートする活動を続けているマデリン役のナオミ・ハリスもとても良い。

ストーリィより、是非出演俳優たちの演技に注目して鑑賞していただきたいと、お薦めする次第です。

2017.02.25

       


  

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