“シンデレラマン” ★★★
CINDERELLA MAN
(2005年アメリカ映画)

監督:ロン・ハワード
脚本:アキヴァ・ゴールズマン、クリフ・ホリングワース
出演:ラッセル・クロウ、レニー・ゼルウィガー、ポール・ジアマッティ

 

米国の大恐慌時代、貧困にあえぐ状況から家族のため再びリングにあがった実在のボクサー、ジム・ブラドックを描いた作品。

ボクサーとして一度は道を閉ざされた人間が再び立ち上がってチャンピオンに挑むというストーリィは「ロッキー」に似ますが、本作品はエンターテイメントではなく、生活そして家族を背景にしたしみじみとした作品であるところが素晴らしい。
ボクシングというのは単に道具立てに過ぎず、本質は家族、そして夫と妻の物語なのです。
男(夫)の側は希望を守るため、そして愛する家族のために己の危険も顧みず挑もうとする。一方、女(妻)の側は、家族のために生活資金を思いを馳せながらも、危険に挑む夫の身を心配する。
これまでになく地味ながらも、レニー・ゼルウィガーがブラドックの妻メイという難しい役柄を見事に演じています。とても味わい深く、見応えがあります。
レニー・ファン故につい先に称賛してしまいますが、主演のラッセル・クロウも実に素晴らしい。
ジムとメイの夫婦関係だけでなく、ジムとマネージャーのジョーとのお互いに信頼し合った深い絆ぶりにも感動します。
ジョーを演じたポール・ジアマッティ(「
サイドウェイ」で主演)も実に良い。

ストーリィ自体、恐慌時代を背景に実在のジム・ブラドックの姿に希望を繋いだ人々の姿を描いて深い感動を覚える作品ですが、ラッセル・クロウ、レニー・ゼルウィガー、ポール・ジアマッティの素晴らしさを堪能できるところが嬉しい。
是非お薦めしたい作品です。

DVDでは実際のジム・ブラッドックのヘビー級タイトル戦の解説に、作家のノーマン・メイラーが登場していました。かつて「鹿の園」「裸者と死者」を愛読したことがあり、とても懐かしく感じました。

2006.02.23

    


  

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