“キャプテン・フィリップス” ★★☆
Captain Phillips
(2013年アメリカ映画)

監督:ポール・グリーングラス
原作:リチャード・フィリップス
脚本:
ビリー・レイ
出演:トム・ハンクス、バーカッド・アブディ、バーカッド・アブディラマン、ファイサル・アメッド、マハト・M・アリ、マイケル・チャーナス

 

現実に2009年、ソマリア沖で海賊の襲撃に遭い人質に取られた後、アメリカ海軍特殊部隊“SEALS”によって救出されたアメリカ船籍マースク・アラバマ号の船長リチャード・フィリップス氏の回顧録「キャプテンの責務」を基にした、実録サスペンス。

ケニアへ援助物資を運ぶ途中のマースク・アラバマ号は4人のソマリア海賊に襲撃され、船長が彼らを引き付けている間に、他の乗務員が逆襲して4人を撃退。しかし、小さな救命艇に乗り込んだ海賊4人にフィリップス船長は、人質にされてします。
そのフィリップス船長を救出するため、アメリカ海軍の艦船がその小さな救命艇を追い、迫力ある救出劇が展開されるというストーリィ。

ごく普通の船員たちと武器をもったソマリア海賊たち。したがってアクション映画のような戦闘が繰り広げられる訳ではありませんが、それが現実に起こったことであるだけに、迫真性に溢れたサスペンスになっています。
ソマリア海賊の問題は知っていても、普通には非道な海賊行為という一言で済まされてしまう問題でしょう。そこを本作においては、(弁護する訳では決してありませんが)ソマリア海賊側の事情も描かれているところに価値ありと思います。
片や貧困を背景に海賊行為を単にビジネスと言い、片や自国民守護と威信をかけて全力で救出しようとする米海軍の圧倒的兵力、この違いは何なのだろうと思わざるを得ません。
共演したソマリア海賊を演じる役者たち、特に海賊のリーダーであるムセを演じるバーカッド・アブディはやせ細って目ばかりギラギラしているという風で、まさにソマリア海賊の風貌イメージにそっくり。実際に彼はソマリア出身で14歳の時に家族と共に米国に移住した人物で、これが俳優デビューなのだそうです。

事実はフィクションに優る、現実に起きたサスペンスは架空のアクションサスペンスに優る、と言うに尽きる迫真性に満ちたフィクション。主演のトム・ハンクスはこれ以上ないというくらいの名演技です。

2013.12.01

       


  

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