“タッチ・オブ・スパイス” ★★
A TOUCH OF SPICE
(2003年ギリシャ映画)

監督:タソス・ブルメティス
脚本:タソス・ブルメティス

出演:ジョージ・コラフェイス、タソス・バンディス、マルコス・オッセ

 

ギリシャとトルコのキプロス紛争のあおりで、故郷であるコンスタンチノーブル(現イスタンブール)の街を強制退去させられたギリシャ人一家を描くストーリィ。

父親がギリシャ国籍である故に強制退去させられ、一緒にギリシャに移住した母親と主人公のファニスは、それ以後30年以上も祖父と会うことがなかった。近いようで遠いアテネとコンスタンチノーブル。
それは一家と祖父との間のことだけでなく、ファニスと好き合っていた少女サイメとの関係にも通じることです。
故郷への々とした思いを細やかに描き出す、味わい深い作品。

ストーリィ全体を通じて料理、スパイスが重要な要素となっているところがエキゾチック。
また、料理へのこだわりを示す故か、1959年コンスタンチノーブルを「オードブル」、1964年アテネを「メインディッシュ」、2003年コンスタンチノーブルを「デザート」に見立てた三部構成。
主人公のファニスは、商店を営んでいた祖父に様々なスパイスの効能を教え込まれたことから、料理好き・料理上手な少年に育ち、男の子らしくないと両親が頭を抱えるというところもユーモラスです。

最後の駅での別れのシーン、いいですね。短いあっさりしたものですが、私は好きです、この手のが。
故郷への切々とした思いに料理絡みのユーモア、そして駅での別れにおける哀感と、まるでいろいろな味わいをブレンドして美味しい料理に仕上げたというような作品です。

2006.01.14

      


  

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