“しあわせ色のルビー” ★★☆
A PRICE ABOVE RUBIES
(1998年アメリカ映画)

監督・脚本:ボアズ・イェーキン
出演:レニー・ゼルウィガー、クリストファー・エクルストン

 

レニー・ゼルウィガー主演だからこそ観た作品。
僅か5年程前に過ぎませんが、レニーが若いなぁ、というのが正直な印象。
その一方において、他の作品に増してレニーが巧いなぁ、と感じる作品でもあります。
ストーリィは、楽しいというものではなく、予想に反してむしろシリアス。だからこそ、レニーの演技に見応えがあるのです。一番最初にこの作品を観たとしても、きっとレニーのファンになったことでしょう。

レニー演じるソニアは、ユダヤ人の若い妻、そして若い母親、という役どころです。ソニアの夫はユダヤ教の学者であり、妻よりまず神が先という、謹厳なユダヤ教徒です。そんな状況、つまりユダヤ教の厳格な戒律にそった生活の中で、ソニアは無理に自分を押し殺している、しかし、身の内の情熱を持て余している、という女性です。
そんな彼女に変化のきっかけを与えてくれたのは、夫メンデルの実兄。ソニアの宝石鑑定士としての才能を見出し、宝石売買の仕事を与えてくれたおかげで、ソニアは生き生きと働き出します。そして当然の如く、夫、親族からの批判にさらされ、ソニアの排斥へと繋がっていきます。
ソニアは決して強い意思をもって仕事を選んだのではなく、やむにやまれぬ気持ちから衝動的に突き進んだのみ。したがって、それから生じた結果に呆然と立ちすくみます。
しかし、ソニアが自らの力で道を切り開き、これからの人生へのスタートラインに敢然と立つ姿は爽快です。

不倫もあったりと、ソニアは決して可愛く素直な女性とは言えませんが、各場面場面でのソニア=レニーの表情の違い、変化していく様子は、見応えがあって惚れ惚れします。
レニー・ファンなら、観ておいて損のない佳作です。

2004.01.22

 


  

 

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