“アド・アストラ ★★
Ad Astra
(2019年アメリカ映画)

監督:ジェームズ・グレイ
脚本:ジェームズ・グレイ、イーサン・グロス
出演:ブラッド・ピット、トミー・リー・ジョーンズ、ルース・ネッガ、リヴ・タイラー、ドナルド・サザーランド

 

太陽系宇宙を舞台にしたSF冒険サスペンス。

核実験の余波を思わせる強いサージ電流に度々襲われ、危機に直面した地球。
地球上空の宇宙空間で作業中だった宇宙飛行士のロイ・マクブライド少佐もサージ電流に襲われ危なかったところ、何とか命を取り留めます。
そのロイ、宇宙軍の上官から、サージ電流発生の原因が、16年前に地球を出発した父親=クリフォード・マクブライド司令官による太陽系外有人探査計画<リマ計画>にあること、そして父親がまだ海王星近くの宇宙空間でまだ生きていると知らされます。
サージ電流の発生を食い止める為、父親救出のため、海王星まで届く通信システムで父親への呼びかけをして欲しいと頼まれ、ロイは地球からまず月基地へ。そして月基地から火星基地へと向かうのですが・・・・。

子供の頃に夢見た、宇宙旅行が実現したような世界が、ここにはあります。
気軽に宇宙旅行できるような時代までにはなっていませんが、地球から月、そして月から火星へは定期便となる宇宙船が行きあい、両者とも、あたかも宇宙空港といった基地が整備されています。
さらに、月では、火星に向けた宇宙ロケット発射基地である裏面へ行く途中、正体不明の強盗団?に襲われますし、月から火星への途中では、遭難した宇宙船からの急難信号を受けて救助に向かう、といった場面も用意されています。

ストーリィはともかくとして、強く感じさせられることは、宇宙空間における人間の孤独、宇宙に心を向けた人間の孤高さ、です。
一旦宇宙空間に飛び出してしまえば、そこは空気もなく、地球から遠く離れた、たった一人の世界。
月から火星へ行くのにも宇宙船で20日弱の日数がかかり、ロイが一人で赴くことになった海王星には火星から2ヶ月以上の日数が必要という設定。

どちらかと言うと、地味で、主人公であるロイが内心と向かい合う姿を描いたような展開。
すなわち、本作で描かれているのは、孤独と向かい合う宇宙飛行士の姿、と言って良いと思います。
宇宙に憧れているからと言って、それは彼にとって幸せと言えることなのか。
じっくり本ストーリィを味わってみてください。

2019.09.21

         


   

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