“名もなき者 ★★☆
A COMPLETE UNKNOWN
(2025年アメリカ映画)

監督:ジェームズ・マンゴールド
脚本:ジェイ・コックス、ジェームズ・マンゴールド
出演:ティモシー・シャラメ、エドワード・ノートン、エル・ファニング、モニカ・バルバロ、ボイド・ホルブルック、ダン・フォグラー、ノーバート・レオ・バッツ、スクート・マクネイリー

 

歌手として初めてノーベル文学賞を受賞した、アメリカのシンガーソングライターであるボブ・ディランの若き日を描いた伝記映画。

まだ無名の若者だったボブ・ディランが、ギターを抱え、ヒッチハイクでミネソタからニューヨークに出て来て、フォークのシンガーソングライターであり入院中のウディ・ガスリーを訪ねる処からストーリーは始まります。
そして、そこでピート・シーガーと出会ったことを皮切りに、ジョーン・バエズを初めとするミュージシャンと知り合い、ミュージシャンとして成功し時代の寵児となっていく一方、シルヴィ・ルッソとの恋とその挫折も描かれて行きます。

劇中の歌唱シーン全てを自分自身で歌ったという、ティモシー・シャラメの演技が、歌のシーンも含め素晴らしい。圧巻というに尽きます。

正直な処、ボブ・ディランという名前、「風に吹かれて」という曲くらいは知っていましたが、それ以上の知識は全くなし。
その意味で全く白紙の状況で本映画を観たのですが、ボブ・ディランという歌手とその歌に魅せられた思いがします。

私の勝手な推測ですが、本映画で観る限り、ボブ・ディランは自分で歌を作り、歌い、それを多くの人に聞いてもらうだけで満足だったのではないか。
有名になることなど、むしろ本人にとっては不本意なことではなかったか、と思うのです。
そして最後のフェス場面、ボブ・ディランの行動は、人は進歩するもの、変わるものであり、勝手に人を何かの枠に嵌めていいものではない、自分は作りたい歌を作り、歌いたいように歌う、という抗議だったのではないかと感じます。
そこは心から共感できる処。

いずれにせよ、ティモシー・シャラメの圧巻の演技がお見事。
また、恋人シルヴィ役のエル・ファニングも好演。

2025.02.28

           


   

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