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        奴隷解放を行ったアメリカ合衆国第16代大統領のリンカーンが、実はヴァンパイア・ハンターでもあったという奇想天外な設定に基づく物語。 
         
        ヴァンパイアと人間の対決ストーリィということならB級アクション映画に留まるかも、とは思いつつ観に行った作品です。 
        ところが、予想外に面白かった。 
        その理由の一つは、奴隷解放、南北戦争をヴァンパイアと人間の戦いでもあるという設定の妙にあります。ヴァンパイア、人間に混じって幅広く存在しており、とくに黒人奴隷を犠牲者にしている所為で南部の居住が多い。 
        幼い頃母親をヴァンパイアに殺され、復讐心からヴァンパイア・ハンターとなったリンカーンでしたが、ヴァンパイアを一人一人殺しても埒は明かない。黒人奴隷解放を通じてヴァンパイアと対決し、これを滅ぼす必要があると、政治家となりその結果として大統領に就任した、という次第。 
        もう一つは、リンカーンがヴァンパイアと闘う主要な武器が斧であること。 
        近代兵器ではなく斧であるところがリアルさを増しています。 
        リンカーンが奴隷解放=万人の平等をめざし南北戦争の先頭に立った歴史事実と、その裏にはヴァンパイアとの闘いがあったという仮想現実の絡ませ方が実に上手い! またリンカーンらとヴァンパイアとの闘い場面が実にリアルで、一抹の怖さ以上に迫力満点。とくに最後の列車上での争闘場面は見事しかいいようのない迫真性です。 
        歴史とホラー、何とも見応えのある映画でした。 
         
        2012.11.10  
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