“絹の靴下 ★★★
SILK STOCKINGS
(1957年アメリカ映画)

制作:アーサー・フリード
監督:ルーベン・マムーリアン
脚本:レナード・ガーシュ、レナード・スピゲルガス
出演:フレッド・アステア、シド・チャリシー、ピーター・ローレ、ジャニス・ペイジ

    

ルビッチの名作「ニノチカ」をコール・ポーター作詞・作曲によりミュージカル舞台化した作品の映画化だそうです。

ストーリィは、東西冷戦時代だからのもの。
ロシアの作曲家ボロフを取り込んで映画を制作しようとしているプロデューサー、スティーブン・カンフィールド役がフレッド・アステア。
作曲家をロシアに連れ戻そうと送り込まれたのがお人好しの三人組なのですが、カンフィールドの術中にすっかりはめられた様子から、続けて送り込まれた特使というのがコチコチの女性共産主義者ニナ・ヨシェンコ。
あくまで映画化を続行しようとカンフィールドは、ヨシェンコに恋を仕掛けますが、さてその結末は・・・。

この作品、ストーリィそのものはどうでも良くて、とにかく踊りが素晴らしい。
勿論アステアも、かなり多彩な踊りを繰り広げてくれていて、アステア・ファンとしてはたっぷり楽しめます。
そのアステアに勝るとも劣らない踊りを披露してくれるのが、ヨシェンコ役のシド・チャリシー。
このシド・チャリシーという人、容貌は整っているのですが、整いすぎていて面白み、可愛らしさに欠けるところがあります。本作品の役は感情を表さないコチコチの共産主義者という女性役ですから、その点ではうまく役にはまっています。
演技より踊りの素晴らしさがこのシド・チャリシーの魅力。元々脚線美ということで売っている人ですが、踊りが端整というか、とても綺麗です。
見せ場となるのが、野暮ったい服・下着を次々と脱ぎ捨て、エレガントな下着・服に着替えていくという
表題の“Silk Stockings”というダンス場面。もうひとつは、後半でアステアとチャリシーが2人で踊る場面。惚れ惚れします。

アステアとチャリシー以外にも、見所はあります。
脇役になってしまいましたが、
映画の主演女優であるペギー・テイトン(J・ペイジ)がアステアと共に<今の映画にスターは要らぬ、テクニカラーとシネスコと立体音響があればいい>と唄い踊る“Streophonic”。
ロシアのお人好し3人組も愉快ですし、唄や踊りにロシア民謡的アレンジが加えられているのが楽しいところ。

ストーリィはともかく、幾つものダンス・シーン、脇の面白さに見応えがあるミュージカル。この作品をやっと観ることができてとても嬉しい。


2005.08.29

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