“女の園” 
(1954年日本映画)

監督:木下恵介
原作:阿部知二
脚本:木下恵介
出演:高峰秀子、久我美子、高峰三枝子、岸恵子、金子信雄、田村高広、東山千栄子、浪花千栄子

上映時間:137分

     

阿部知二「人工庭園」の映画化とのこと。
京都にある規律に厳格な女子大学を舞台に、すべからく生徒を束縛しようとする学校側と、それに反発して自由、権利を主張する女子大生たちの対立を描くストーリィ。
規律優先、男性と2人だけでいるのも危険、男性との交際などとんでもないと説き、生徒が出す手紙も届く手紙も検閲して当然という寮母たち、今からすればとんでもない、馬鹿馬鹿しいと思うことなのですが、当時にしてみれば当然と考える人たちもあったのか。
恐ろしいと思うのは、誰が考えてもとんでもないという仕業を、生徒たちのために当然、それが正しいことと信じきっていることです。こうした人間の怖さ、現代でも変わらない問題と思います。

生徒たちを束縛して当然と考える正倫女子大学側の代表格が女子寮の寮母を務める五條真弓。高峰三枝子演じるこの五條の何と憎々しげなことか。整った顔立ちのうえに恰幅がいいので、善人面して行う非道さに凄味があります。
それに反発する女子学生の代表格、林野明子と滝岡富子を演じるのが、久我美子と岸恵子。
高峰秀子さん演じる出石芳江は、東京の大学に通う苦学生の恋人がいる身。横暴な父親が無理やり結婚させようとすることから逃げ出すために入学したものの、高校卒業後銀行勤めしていたことから勉強についていくのがやっと、その上恋人との辛い恋、自分一人学校側の処分が軽かったことから、神経衰弱となり、悲劇の主人公を演じています。
本作品では、主要登場人物の一人に過ぎないことと、可愛く弱い女性という役柄から、高峰秀子出演作品としてはあまり魅力を感じません。

当時としてはどうだったかは判りませんが、そういう時代、そういう状況があったと知れるだけのことで、映画作品として面白いとは思えません。

2012.03.18

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