“乱れる” ★★☆
(1964年日本映画)

監督:成瀬巳喜男
脚本:松山善三
出演:高峰秀子、加山雄三
、草笛光子、白川由美、三益愛子、浜美枝、藤木悠、北村和夫、十朱久雄、中北千枝子、浦辺粂子
上映時間:98分

      

高峰さんの夫君=松山善三氏脚本による作品。
静岡県清水市で昔ながらの酒店を営む礼子が主人公。
嫁といっても戦死した夫とは19歳で嫁いでから僅か半年の夫婦生活。今の森田酒店も戦後礼子が一人で奮闘して再興した店。夫が戦死してから18年間、礼子は夫の遺志を継いで義妹2人を嫁に送り出し、今は25歳となった義弟=幸司が店を継いでくれる日を待ち望んでいる。
しかし、近所にできたスーパーマーケットの影響で商売の先行きは難しい。幸司は店を株式会社にしてスーパーに転換することを計画するが、嫁いだ姉2人は礼子を重役として遇することに反対、単に奉公人として遇すれば良いという。
肝腎の礼子は、幸司から「義姉さんが好きだ、ずっとそばにいたい」と秘めていた思いを唐突に打ち明けられて動揺。スーパーの計画も知り、森田家から身を引くことを決意します。

昔ながらの価値観を守って森田家に尽くしてきた礼子の18年は、無駄だったのか、犠牲だったのか。
一人の女性の生き方の是非を問うとともに、義弟との愛の可否を描いた秀作。
最後は思いもよらぬ悲劇に終わりますが、呆然と立ちすくむ礼子の表情が圧巻、忘れられそうにありません。

最初から最後まで感じるのは、高峰秀子とは、いつの年代にあっても良い女優だなぁということ。高峰さんの演技だけを見ていても観応えがあります。

2012.03.12

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