“美女と野獣 ★★★
La Belle et La Bete
(1946年フランス映画)

監督:ジャン・コクトー
原作:ルブラン・ド・ボーモン
脚本:ジャン・コクトー
出演:ジャン・マレー、ジョゼット・デイ、マルセル・アンドレ、ミシェル・オークレール、ミラ・パレリ

  

「美女と野獣」、前から興味があったのでディズニーアニメのDVDを借りて観たのですが、余りに子供っぽくて耐えられませんでした。
そこで、古典的作品である本映画を借りて観た次第。

令嬢気取りをしたがる上の娘2人と父親思いの末娘に、放蕩者の長男という4人の子供をもつ商人、商売が傾き金策に失敗して帰る夜道、とある古城に迷い込みます。
その古城の庭園で、末娘ベルが土産に望んでいたバラの花を見つけつい摘むと、そこに突然現れたのは“野獣”であるその城の主人。
商人の命を助ける条件として、3日以内に娘の内一人が父の身代わりになってこの城に寄越すことを命じられます。
家に帰った父親からそれを聞いたベル、父親の命が助かるならと、黙って一人城に向かいます。
最初こそ恐ろしかった“野獣”ですが、触れ合ううち、外見は恐ろしいもののその心は優しいことにベルは気づきます。
父親が病の床についていることを知ったベル、看病のため父親に会いに行きたいと野獣に許可を求めます。“野獣”はベルに帰宅を許しますが、一週間で帰ってくることを命じ、もし帰って来なければ自分は悲しみの余り死んでしまうとベルに告げる。
ベルは約束通り“野獣”のもつ古城に帰ろうとしますが、ベルにかねてから想いを寄せていた、これまた放蕩者でロクでなしの青年アヴマン、ベルの兄を誘い込み、“野獣”を殺してその財宝とベルを手に入れようと企みます。
さてその結果は・・・・。

白黒画面で、今から見ると古臭いところもあるクラシックな作品ですけれど、細部にまで神経や工夫が行き届いていて、演出の点でも見事なものです。
そのうえ、ストーリィ展開は極めてスリリング。
また、野獣の本能と人間的な心に引き裂かれて苦しむ“野獣”の姿を人間的に描き出している点、相当に秀逸な作品です。
姿は野獣であっても人間的な“野獣”と、美男ではあるもののロクでなしの青年と、ベルの前に繰り広げられるその対比も鮮やか。
詩人・小説家でもある監督ジャン・コクトーの手腕の成果、と言うべきなのでしょうか。
現代にまで残る古典的作品の力は大したものだなぁと、今更ながら思います。
ただし、最後、2人が宙を飛んでいくというシーンには首をひねりたくなりますが。

※なお、野獣メイクで顔は判りませんが、野獣とアヴマンの二役を演じたジャン・マレー、私には懐かしい俳優です。
たしか、ジェラール・フィリップと人気を二分していた仏映画の人気男優で、剣劇もの作品に多く出演していて、学生時代よく観たものです。
 
               

2011.09.19


amazon.co.jp

   


 

to 映画note Top     to クラシック映画 Index