“素晴らしき哉!人生” ★★★
IT'S A WONDERFUL LIFE
(1947年アメリカ映画)

監督:フランク・キャプラ 
主演:ジェームズ・スチュワート、ドナ・リード

淀川長治総監修「世界クラシック名画100撰集」5

  

小林信彦さんの「コラムは誘う」に触発されてDVDで借り、パソコンで初めてみた作品。う〜ん、良かったですねェ。
クリスマス・イヴの日、天上で神と天使たちが語らうという出だしは、ちょっとしたプロローグで期待を募らせられる、という点でなかなかのものでした。アメリカの古典的な手法かもしれませんが、快さを感じます。
さて、ストーリィはというと、まさに伝統的なアメリカ・スタイルのもの。
こういった映画になると、ジェームス・スチュワートという俳優は、本当にはまりものです。この俳優以外には考えられないと思わずうなってしまう、流石というほかありません。
悪人に対する善人の戦い、そして勝利。
ストーリィをややバラしてしまうとそういうことなのですが、この点、同じく監督キャプラ、主演スチュワートの“スミス氏都へ行く”とよく似ています。
ただ、この“素晴らしき哉!人生”には、はるかに多くの、アメリカ映画的なさまざまなストーリィの要素がつまっています。“スミス氏都へ行く”の成長版、拡充版とでも言えましょうか。
貧乏、苦学、良き隣人、ラブ・ロマンス、成功物語、家庭愛、人々の善意。なかなか贅沢なストーリィです。
そしてなんと言っても秀逸なのは、最初に出てきた天使の使い方。
決して「らしくない」、神、天使を登場させる、アメリカ映画の常套手段とも言えますが、この映画はその初めの頃のものなのでしょうか。
でも、本作品においては、本当に扱い方がうまいです。この部分がなかったとしたら、なんと当たり前で締まらないストーリィになったことでしょう。
題名の「素晴らしき哉!人生」は、この部分なくしては、納得のしようがありません。
最後は、観ていてやはり涙をこらえきれず、という状態でした。
良きアメリカ映画の代表作、ジェームス・スチュワートにしても代表傑作と言えるのではないでしょうか。クライマックスで必死になったスチュワートの表情は、過去見た彼の映画の中では最高のものでした。
ドナ・リードも、私の好きなタイプの女優さんです。
美人で才媛で、それでいて印象は平凡で、愛する男性を支えて尽くすという感じ。
どこかで見た人だなと思っていたら、“ベニー・グットマン物語”でグッドマンの恋人役を演じた女優さんでした。

  


 

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