“イヴの総て ★★☆
All About Eve
(1950年アメリカ映画)

出演:ベティ・ディビス、アン・バクスター

    

ベティ・ディビスの熱演が光る作品。
幕開けは、ある演技賞の授賞式場面。賞を受賞したのは、若手女優のイヴ・ハリントン。イヴという女優誕生に関わりをもった面々が、その場に出席していました。女優、演出家、劇作家等々。イヴが彼らの前に現れたのは、まだ一年も経たない最近のこと。その間に何があったのか、演出家夫人の回想が始まります。

マーゴ・チャニングという舞台女優の前に現れたイヴ。
当初は、皆から気立ての良い素直な女性と思われていましたが、あまりにでき過ぎで何かあるな、という感じ。その通り、次第にイブは少しずつ自分の欲を露にしていきます。彼女の目的は、マーゴを押しのけて桧舞台に立つこと。
というと、本作品の主人公はイヴのように思われますが、決してそうではありません。年をとり主役でいることが難しくなってきた女優と、彼女を押しのけて登場してきた若手女優、世代交替とも言えるせめぎあいのストーリィと言えます。
イヴを演じるアン・バクスターの演技も見事です。最初抑え気味の演技ですが、終盤に至って本性を露にしていく辺り、なかなかの見応えです。
でも、もっと素晴らしいのは、先輩女優マーゴを演じるベティ・ディビス。イヴに主役交替を迫られる恐れがあるのは勿論ですが、8歳も年下の演出家である恋人を取られるのではないかということにもっと恐れを持つのです。
さらにもっと突き詰めていくと、
であることを捨てて女優一途に邁進してきた結果、女優を取り去った自分に何が残るのか、であることができるのか、という焦燥感にかられる訳です。なりふり構わず、自分の不安感を曝け出していくあたりの演技は、迫真力があり、アン・バクスターの演じるイヴをはるかに圧倒しています。
なお、オマケとも言えますが、デビューしたてのマリリン・モンローが、ちょっとオツムの足りない新進女優として顔を出します。

本作品は、1950年度アカデミー賞の6部門を獲得。
作品賞、監督賞、脚色賞、助演男優賞、衣裳デザイン賞、録音賞。


2000.03.18

 


 

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