“黄泉がえり” ★★  
(2002年日本映画)

監督:塩田明彦
原作:梶尾真治
脚本:犬童一心、斉藤ひろし、塩田明彦
出演:草g剛、竹内結子、石田ゆり子、田中邦衛、伊東美咲、RUI
主題歌:「月のしずく」、挿入歌:「風の果て」、「泪月」

 

梶尾真治さんの傑作長篇「黄泉がえり」の映画化。
原作と比べると、どうしてもスケールの点で見劣りしてしまうのですが、繰り返しの2度目に観たときには、原作から離れ、映画作品としての出来上がりの良さが感じられ、充分楽しめました。

ストーリィは、熊本の阿蘇地方で、以前に死んだ人々が残された家族等の願いによって甦ってくる、というもの。

原作では、甦った人々それぞれのドラマが複数、並行して描かれていましたが、映画という限られた時間の中でそれは無理。その代わりに、原作にはない厚生労働省官僚の川田平太(草g剛)と、その友人であると同時に親友の恋人だった橘葵(竹内結子)のストーリィがメインに据えられています。しかも、2人の関係をドラマチックにするための仕掛けが施されており、その点は鮮やか。
原作では数多くの切ないストーリィに感動させられるのですが、映画で描ききれないその切なさを、平太と葵という2人のストーリィ、そして最後の阿蘇山麓ライヴ場面、RUIの唄う主題歌・挿入歌で見事に盛り上げた、という印象です。
ただ、原作における重要な要素が映画には欠けています。それは、人々を甦らせる源となった巨大な生命体の意思。元々画面には納めきれない部分と思っていましたが、その部分は完全に省かれています。まぁ、仕方ないことでしょう。

原作にこだわらずに観れば、充分以上に楽しめる作品であることに間違いありません。なお、映画に感動したのなら、是非原作も読むことをお薦めします。きっと改めて感動を味わえることと思います。

2003.08.13

    
→ 原作:
「黄泉がえり」
  


  

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