ヤマトタケル(シネマ歌舞伎) ★★☆
(2013年日本映画)

作 :梅原 猛
脚本・演出:市川猿翁
出演:市川猿之助(四代目)、市川中車(九代目=香川照之)、市川右近、市川團子

 

先代猿之助のために哲学者・梅原猛が書き下ろし“スーパー歌舞伎”という新しいジャンルとして打ち出した歌舞伎作品。昨年6月に新橋演舞場で四代目市川猿之助、九代目市川中車(香川照之)とその子=市川團子の襲名披露公演を映像化したものです。

歌舞伎ならやはり舞台で、と言われるかもしれませんが、生で観る臨場感はないにしろ逆に表情等細かいところをよく観ることができる等々、シネマ歌舞伎はシネマ歌舞伎なりの良さもあるのではないかと思います。
歌舞伎を舞台で観たのは故・中村勘三郎の1回だけ、シネマ歌舞伎も同じく勘三郎出演作を観たのに続く2回目と、歌舞伎には全くの素人。その分、舞台よりシネマの方が組し易いという思いがあります。
とはいうものの、シネマ歌舞伎でも途中休憩2回を含めて上演時間4時間とかなりの長さ。

ストーリィは日本武尊の英雄伝説を基に歌舞伎化したもので、セリフが全て現代語である点は、古典的な歌舞伎よりストーリィを理解しやすい。またスケールの壮大さも従来の歌舞伎とは一味違って感じられました。
要は日本武尊の伝説を描くに、歌舞伎の手法(音楽、踊り、舞台作り等々)を以てした作品という印象で、演じる役者たちの芸達者ぶり等、それなりに見どころ、見応えはたっぷりありました。
スーパー歌舞伎という名称が相応しいかどうかはともかく、スーパー歌舞伎の「ヤマトタケル」とはこういう作品だったか、というのが判って、ひとまず得心。

なお、舞台終演後の全員そろってのカーテンコール、先代猿之助も姿を見せましたが、身体の不自由さを感じられたもののその存在感たるや相当なもの。この先代の存在があってこそこの作品も生み出されたのだと、改めて感じました。

2013.09.29

               


  

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