“海の沈黙 ★★☆
(2024年日本映画)

監督:若松節朗
原作:倉本聰
脚本:倉本聰
出演:本木雅弘、小泉今日子、清水美砂、仲村トオル、菅野恵、石坂浩二、萩原聖人、村田雄吉、佐野史郎、田中健、中井貴一

 

高名な画家=田村修三(石坂浩二)の展覧会、その代表作「落日」について、田村自身がこれは自分が描いた絵ではない、贋作だ、と言い出したことから大騒ぎが引き起こされます。
そして責任を追及される当事者となったのは、その絵を提出した小さな町の市長と市立美術館の館長。その絵に惚れこみ、小さな市としては巨額の3億円で購入したという経緯があったから。

そして、北海道の小樽市。入水自殺したらしい、全身に刺青が彫られた女性の死体が発見されます。

その両方の事件から、修業時代に田村修三と同門で、新進気鋭の天才画家と言われながら、画壇から葬られた津山竜次(本木雅弘)という人物の存在が浮かび上がってきます。
その津山は今、何処でどうしているのか。

田村と津山の恩師で、かつて津山と恋人同士であった安奈(小泉今日子)は今、田村の表面的な妻となっている。
ある人物から津山は今小樽にいると知らされた安奈は、一人小樽へ向かう。そして・・・・。

絵を描くことだけに全霊を捧げた天才画家の現在の姿、かつての恋人同士の再会、この二つが本作の大きなポイント。

決してドラマチックな結末がある訳ではありませんが、絵に対する狂気の如き情熱、相手への深い想いに圧倒されます。
孤高の画家を演じた本木雅弘さんが素晴らしく、元恋人を演じた小泉今日子さんもお見事。
また、津山に絡む二人の女性、牡丹(清水美砂)、あざみ(菅野恵)の、観終わった後の残像も強烈です。

地味な作品と言えますが、お見事。じっくり堪能しました。

2024.11.23

             


  

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