“海の沈黙” ★★☆ 監督:若松節朗 |
高名な画家=田村修三(石坂浩二)の展覧会、その代表作「落日」について、田村自身がこれは自分が描いた絵ではない、贋作だ、と言い出したことから大騒ぎが引き起こされます。 そして、北海道の小樽市。入水自殺したらしい、全身に刺青が彫られた女性の死体が発見されます。 その両方の事件から、修業時代に田村修三と同門で、新進気鋭の天才画家と言われながら、画壇から葬られた津山竜次(本木雅弘)という人物の存在が浮かび上がってきます。 田村と津山の恩師で、かつて津山と恋人同士であった安奈(小泉今日子)は今、田村の表面的な妻となっている。 絵を描くことだけに全霊を捧げた天才画家の現在の姿、かつての恋人同士の再会、この二つが本作の大きなポイント。 決してドラマチックな結末がある訳ではありませんが、絵に対する狂気の如き情熱、相手への深い想いに圧倒されます。 地味な作品と言えますが、お見事。じっくり堪能しました。 2024.11.23 |