“天空の蜂” ★★
(2015年日本映画)

監督:堤幸彦
原作:東野圭吾
脚本:楠野一郎
出演:江口洋介、本木雅弘、仲間由紀恵、綾野剛、國村隼、柄本明、光石研

  

東野圭吾が1995年に発表したサスペンス・アクション。
航空自衛隊に納入される筈だった巨大なヘリ=ビッグBが、引き渡し寸前にテロリストから遠隔操作でハイジャックされてしまう。
犯人はビッグBを福井県になる高速増殖炉原発「新陽」の上でホバリングさせ、燃料が切れて墜落する前に日本全国にある原発を全て停止させろと日本政府に要求。
しかしそのビッグBには、それを開発した技術者の息子が密かに忍び込んでいたために、少年の命まで危険に晒されるという事態。
さて、日本政府はどう対応するのか。巨大ヘリは本当に原発の上に墜落するのか、というサスペンス。

発表当時としては、安全神話を広める日本政府や日本国民への警鐘の意味があったのではないかと思いますが、3.11東日本大震災での福島原発事故の前後では、国民の受け止め方も随分と変わったのではないかと思う次第です。

ストーリィ、犯人側の様子を描く部分は少なく、脅しにどう対応するか右往左往する関係者たちを描く部分が多い。そこが主眼だっただろうと感じます。
ただ終盤に至って一転、事件の真相は一気に複雑な様相を見せます。そこが東野圭吾作品らしいと思うところ。

ただ、ストーリィ全体を眺めると、最初からスリリングいっぱいでしたけれど、最初から最後までスリリングさの程度はずっと一本線で、大きくスリリングさが膨れ上がるという部分がなかったように感じます。そこが惜しまれるところ。
ただし、ビッグBと名付けられた巨大ヘリ、その存在感は圧倒的でした。

2015.09.12

          


  

 to 映画note Top     to 最近の映画 Index