“ラストレター ★★
(2019年日本映画)

監督:岩井俊二
原作:岩井俊二
脚本:岩井俊二
出演:松たか子、広瀬すず、森七菜、庵野秀明、福山雅治、神木隆之介、豊川悦司、中山美穂

 

高校時代、現在を行き来し並行して語る、ラブストーリィ。

岸辺野裕里(松たか子)は、姉・未咲(広瀬すず)の葬儀の時に届いた姉宛の同窓会案内を受取り、姉の死を伝えようと同窓会に出席します。ところが、言葉を発する間もなく姉と勘違いされてしまい、説明できないまま途中で会を抜け出します。
しかし、その裕里を追いかけてきたのが、当時初恋の相手だった乙坂鏡史郎(福山雅治)。今は小説家と名乗る鏡史郎とメールアドレスを交換するのですが、スマホを故障させてしまった裕里は、姉の未咲を騙って鏡史郎宛に手紙を書きます。

手紙や裕里から鏡史郎へ。
一方、鏡史郎が未咲の実家宛に出した手紙は、未咲の娘である
遠野鮎美(広瀬すずの二役)と裕里の娘である颯香(森七菜の二役)の元に届き、鮎美は鏡史郎宛に母の名前で返事を出す。
また、回想される高校時代、鏡史郎(神木隆之介)が書いた遠野未咲宛のラブレターは、鏡史郎からその妹で同じ生物学部だった裕里に託されるのが常だった・・・。

本ラブストーリィは、当事者たちの間で交わされる手紙という存在が大きな意味をもっています。
現代ではもう手紙よりメールという時代ですが、知らず知らずにして思いが籠る手紙という手段には、とても美しいものを感じます。

回想ですけれど、高校時代の現在進行形のラブストーリィ。そして、現在の過去を蘇らせるラブストーリィ。
そして最後、その間に秘められた手紙のやり取り、変則的なラブストーリイがあったことが明らかになります。

幾つものラブストーリィを味わったような陶酔感、未来への希望が後を引く物語ですが、唯一ひっかかったのは、言葉だけで語られる大人になってからの未咲の経緯。
本ストーリィのためにはそうした設定が必要だったのでしょうけれど、高校時代の人物像からのギャップの大きさが納得いかず。

※上条恒彦さんと「出発(たびだち)の歌」をヒットさせた<六文銭>の小室等さん、「青葉城恋唄」のさとう宗幸さんが出演していて、ファンとしては懐かしかったです。

2020.01.24

         


   

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