“幸福な食卓” ★★
(2006年日本映画)

監督:小松隆志
原作:瀬尾まいこ
脚本:長谷川康夫
出演:北乃きい、勝地涼、平岡祐太、さくら、羽場裕一、石田ゆり子

 

瀬尾まいこさんが第26回吉川英治新人文学賞を受賞した「幸福な食卓」の映画化。
父親が3年前に自殺未遂、母親は家を出て一人暮らし、秀才の兄は農業に従事しているという中原一家。幸せな家族のようでありながら、少しずつ歯車が狂い始めていて家族はこのまま破綻してしまうかもしれないという状況の中、主人公である中学三年生の佐和子は一人、健気に日々を送っています。
中学から高校という多感な時期に、何かをこらえてならが日々を過ごしているような佐和子ですが、転校生の大浦のあっけらかんとした態度に徐々に殻を破られていく。その一方で家族の一人一人も変化を受け入れていかざるを得ない。

DVDを借りてから半年というもの間、積極的に観ようという気持ちが生まれず、ずっとそのままにしておいた作品です。それがふと、観てみようという気持ちになりました。

そして観て、あぁ、こんなしみじみとした作品だったのか、と思いました。長く置いていた後に観たいという気持ちになってから観たおかげで、そのしみじみとした良さが判ったと思います。
恋人や友人はまた得ることができる。でも、家族の絆ははるかに強い。高校生はまだまだ若い時期。どんな悲しみに出会っても、これから先に幾らでも希望が広がっている。
最後にそんなメッセージを感じ取ることができるのも、本ストーリィがしみじみと描かれてきた故でしょう。
時間が経っていたおかげで原作にとらわれず観ることができました。原作と別にして、良質な、気持ちの好い作品です。

2008.01.01

      
→ 原作:「
幸福な食卓

   


  

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