“犬と戦争−ウクライナで私が見たこと− ★★
(2025年日本ドキュメンタリー)

監督:山田あかね
プロデューサー:山田あかね
ナレーション :東出昌大

 

犬好きな山田あかね監督が、ロシアの軍事進攻を受けた戦禍のウクライナへ、3年、3回に渡って趣き、現地で置き去りにされた犬たちを救うため、自らの危険を顧みず活動する人々の姿を追ったドキュメンタリー。

人間が命の危険に晒されている状況では犬の命どころではない、というのは現実でしょう。
それでも置き去りにされた犬たちが、やっと訪れてきた人たちに向けた、縋るような目には、申し訳ない気持ちでいっぱいになります。
そう、犬という存在は、人間に保護されて生きる動物であるという事実を、まざまざと感じさせられます。
首都キーウでは、野良犬となった犬たちが多いという。でも、募金があったり住民から餌を与えられて生きることができているそうです。

それに対して、本作で“ある悲劇、事件”として語られているのは、キーウ近郊にある犬のシェルターのこと。 280頭余りの犬を保護していたとのことですが、ロシア軍の攻撃により職員は避難せざるを得ず、その後もロシア軍が立ち入り禁止にしていたため、やっと関係者がシェルターに行くことが出来た時には、約半数の犬が(餓死でしょう)死んでいたという。
生き残った犬も、窓から滴り落ちる水を舐めたり、排泄物を食べたりしていたのではないか、共食いの痕もあったそうです。

野良犬となった犬たちを救おうとしているのはウクライナの人たちだけではありません。各国の保護団体が様々な形で保護活動に取り組んでいるとのこと。

犬の命より人の命の方が大事、ではあるでしょうけど、だからといって犬の命を捨ておいて良い訳がない。犬の命を大事にするということは、とりもなおさず人の命を大事にするということでもある筈ですから。
危険地域での保護活動に積極的に取り組んでいる元英軍兵士の男性は、PTSDを発症していたが、一匹の犬のお蔭で立ち直ることができた、だからこそ犬を救いたいと、取材当時はガザ地区に赴いていたそうです。

映像を見ながら思うのは、何故こんな事態になったのか、ということ。
それはロシアが、他国に対して、非道な軍事侵略をしたからです。
一方的に軍事力を行使し、攻め入るなど、あってはならないことです。
見終えた後も、人に向けた犬たちのつぶらな目がいつまでも忘れられません。

2025.02.22

                  


  

 to 映画note Top     to 最近の映画 Index