“ICHI” ★☆
(2008年日本映画)

監督:曽利文彦
脚本:浅野妙子
原作:子母沢寛
出演:綾瀬はるか、大沢たかお、中村獅童、窪塚洋介、柄本明

 

綾瀬はるかが演じる女性版「座頭市」。
ヒロインの市は、離れ瞽女という設定です。

人との関わりを避け、探す相手を求めて一人で旅する孤高の女性=市。たまたま知り合った浪人者の藤平十馬と、行き着いた宿場で争う2派=町を守ろうとする白河組と無法者の集まりである万鬼の争いに巻き込まれるというストーリィ。

“座頭市物語”という点から観るなら、いくら女性版とはいえ、まるで物足りない。
アウトローという人物設定には、綾瀬はるかだけでなく、悪役の中村獅童も完全に役不足です。とくに万鬼役の中村獅童は全くの虚仮威しで、滑稽ささえ感じてしまいます。
最後に白河組と万鬼一味がぶつかり合う場面はまるで学芸会のようで、「用心棒」の単なる真似としか思えない。
迫力という点では、どうも白黒映画の方がカラー映画に優るようです。

一方、綾瀬はるかに注目して観ると、こうした役を演じてみるのも面白いなぁと思います。
一応汚れ役なのですが、その割りに市の顔が綺麗過ぎるところがストーリィと相容れないのではないでしょうか。
アクション+ラブ・ストーリィ、その点では「
僕の彼女はサイボーグ」と双生児のような関係にある映画と言えるのではないでしょうか。
綾瀬はるかが盲目の瞽女に扮して殺陣を披露する、との点に限っていえば、十分満足できた作品ではあります。

2008.11.01

       


  

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