黒川作品は読んだことがなく、原作の「勁草」も勿論知らず。
なお、原作で主人公は男性なのですが、映画では女性に置き換えている由。
その主人公=橋岡煉梨(ネリ)を演じるのが安藤サクラ。
冒頭、オレオレ詐欺の受け子を仕切り、安全かどうかを見極める“サード・コーチ”役。
犯罪ですから褒めてはいけないのですが、安藤サクラ演じるネリが、とても格好良いのです。その鮮やかさについ拍手したくなってしまう程。
犯罪一味の一人ではありますが、貧しい老人たちを世話する面倒見の良さもある女性。
犯罪者の一員ではありますけど、ネリが他に居場所を得られず、やむを得ずそこに身を置いているという雰囲気が伝わってきます。
しかし、義弟の矢代穣(ジョー)が出所して、ネリの元に身を寄せたところから、歯車が狂ってきます。
このジョーがどうしようもない奴で、またもや軽挙妄動してネリをとんでもない窮地に追い込みます。
そこからが凄い。
窮地を脱するための行動、そこではネリの胆力、計画力、演技力が存分に発揮されていく。
犯罪上部組織の追求、警察の捜査、そして、ネリ個人を執拗に追いかけるサディストの存在。
オレオレ詐欺に、違法賭博、傷害殺人と、極め付きダークなストーリィですが、安藤サクラさんの演技力が凄い!
窮地に陥ってからネリが見せる、様々な表情の見応えといい、安藤サクラさん在っての本映画、安藤サクラさんの見事な演技を堪能するための映画だと言って、過言ではありません。
最後の最後まで息が抜けず、緊迫感がずっと続きっぱなし。
安藤サクラさん演じるネリの姿は実に格好良いのですが、最後のシーン、失踪するネリの姿が何とも清々しい。
安藤サクラさんの代表作になるのではないでしょうか。是非、お薦め!
2023.10.01
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