田中秀征著作のページ

 

 


 

●「行革論集―民権と官権―」● 

 

1997年5月
ダイヤモ
ンド社

 

1997/08/19

「さきがけと政権交代」の時のイメージが良かったこと、日経新聞の書評に取り上げられていたことから、読むに至りました。前著でもそうだったが、この人の著書は、何より分かり易い。そして、更に貴重なことは、普通人の普通の感覚で政治を捉えている、ということ。そのことが、どんなに重要なことか、昨今の政治情勢をみていると尚のこと感じます。
田中氏の論説に従うならば、政治とはどんなに簡単なことであろうか。その時代、その時代に必要なことを、普通の感覚で考え、実行する。自分の家庭で行うことと根本は同じである。それにもかかわらず、権益、省益、票の確保、などの権力ゲームに明け暮れるからこそ、政治家は政治をさも難しいことのように有権者を篭絡する。この人は、政治家として在ってほしいと思うのだけれども、票とり合戦に明け暮れるくらいならば、現在のように外にあって政治の論点を明確にする活動をして欲しいと思う。
第一部「『行政党』解体論」 年頭に日経新聞の「経済教室」欄に書いたものを軸にした書き下ろし。
第二部「時代を視る」 週刊ダイヤモンドに書いた行革関連のコラム集。
第三部「『八方美人改革』の欠陥 大蔵省改革・日銀法改正を検証する」 斉藤精一郎氏との対談。
特に注目したのは、第二部の「中島問題と行政体質 1996.3.9」の内の文章。官僚らのもっている指導者意識、管理者意識のようなものが、独りよがりの印象を強めていると警鐘する。また、それは大組織や大企業で出世するエリートも同様な気がする、という。さらに、マスコミさえも同様な傾向にあると。全く同感。今流行の“リストラ”さえも、そのプロセス・目的が気になる。

 


 

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