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佐藤聖編「百鬼園先生−内田百闡S集月報集成−」 ★★☆ | |
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講談社版「内田百闡S集」(全10巻)、福武書店版「新輯内田百闡S集」(全33巻)の月報と、福武文庫“内田百閨hシリーズ(全29冊)の解説を集成した一冊。 百鬼園先生こと内田百ファンだからこそ魅力的な一冊。 ただし、最初の頃は少しずつ読んでいたから良かったのですが、図書館の貸出期限が迫れば一気に読み上げるしかない、というのが苦しい処。 最初は頭のキャパシティも何とか足りていたのですが、一気に情報量が雪崩れ込んで来くると、すぐ容量超過、せっかくの情報も垂れ流しという次第。それでも少しずつ残った情報もあるみたいです。 私も後から百閭tァンになったものですから、講談社版全集、旺文社文庫は全く知らず。一方、福武書店版全集は第1巻だけ、福武文庫版も何冊か。そして六興出版「定本阿房列車(全)」を所蔵しています。 どうして「阿房列車」を知ったのかというと、宮脇俊三さんの鉄道紀行本からでしょうか。 当然ながら本書の構成は、各全集・文庫別。 講談社版全集は1971〜73年の刊行。そして福武書店版全集は1986〜89年の刊行。 僅か15年の差ですが、月報の書き手は大きく変わります。 講談社版では、百關謳カと同世代、直接知る人たちが主。したがって、基本的には内田百閧フ人物像が語られます。文章は百關謳カの作品同様古めかしい印象を受けますが、百關謳カの味わいある人物像が伝わってきて楽しくなります。 一方、福武書店版では、百關謳カの作品(小説・随筆)の読者という人たちが主体となり、前者との趣きはだいぶ異なります。 さらに福武文庫の解説となると、百關謳カの人物、その作品に対する分析、評論的な印象が強くなります。 本書を読みながら強く思うことは、百關謳カの味わい、面白さ。 これからも読み継がれていって欲しいと、強く思う次第です。 内田百闡S集(講談社)/新輯 内田百闡S集(福武書店)/福武文庫/ 解説/全集収録作品一覧/内田百阯ェ年譜 |