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●「検察VS.小沢一郎−「政治と金」の30年戦争−」● 

 

   
2009年06月
新潮社刊

(1400円+税)

 

2009/08/28

 

amazon.co.jp

西松建設に絡む政治資金規正法違反疑惑で、小沢一郎民主党議員の公設秘書が逮捕された事件を中心としたノンフィクション。
「検察 vs.小沢一郎」という本書表題はそうした意味ですが、副題にあるとおり、今回の事件に留まらず、30年間にも及ぶ裏献金工作の流れの末にこの事件がある、というのが本書の主張だろうと思います。

30年の流れを語るとは即ち、小沢一郎議員のこれまでの政治家としての足どりを語ることに通じます。
田中角栄元総理大臣の秘蔵っ子と言われ、継いで金丸元自民党副総裁の下派閥ナンバー2となり、竹下小渕両氏と袂を別って自民党を離党、新生党の旗揚げ、新進党の結成、分裂して自由党、さらに保守党との分裂、そして民主党と合併という遍歴。
恩を受けた人にも必要とあらば背をむける非情さ、独断専行、豪腕と様々に評される。
表舞台においては政治の浄化を唱えつつ、田中・金丸という金権体質DNAを色濃く受け継いでいる政治家に他ならない、と言われます。
一方、検察の側。国策捜査とまでは言わないにしろ、恣意的な面がなかったとはいえない。
その両者が相まっての、政治資金規正法違反疑惑。

正直言って目新しいところは余りありません。ずっと小沢氏、および小沢氏が率いた政党の結党・分裂を見てきていると、知っていることが殆ど。
ただ、数々の不正献金事件と併せ、一つの流れに整理したという点では問題点を理解しやすい。その点では価値あり。

さて、この夏の衆議院選挙、その結果はどうなりますことやら。いずれにせよ、小沢民主党議員がまだ当分の間政治の中心舞台に留まり続けることは間違いないだろうと思います。

プロローグ:電撃逮捕/特捜部と西松建設/小沢と西松建設/小沢のルーツ/検察捜査は諸刃の剣/霞が関と民主党/離反した側近/エピローグ:特捜部は負けたのか

 


 

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