大高美貴著作のページ


1969年生、フェリス女学院大学卒。旅行代理店に勤務後、イスラエルでの研修旅行中にパレスチナ問題を知り、ジャーナリストを志す。94年度ミス日本に選ばれ、国際親善使節として世界50ヶ国を訪問。現在、生活文化・女性問題等について雑誌に寄稿中。

 


 

●「シルクロードがむしゃら紀行−女ひとり一万キロ−」● ★★


シルクロードがむしゃら紀行画像

2001年01月
新潮社刊
(1600円+税)

2003年12月
幻冬舎文庫化
(「冒険女王」)

    

2001/02/06

中国・西安から中央アジアを経てトルコ・イスタンブールまで、列車でユーラシア大陸を横断する、2ヶ月半に及ぶ旅行記です。
となると連想するのは当然、沢木耕太郎さんの深夜特急
乗合バスと国際列車という差はあるにしろ、男性と女性という違いを考えれば、殆ど同レベルの冒険旅行と言えるでしょう。

若い女性の独り旅となると、治安問題も要注意。相談相手の中国高官S氏から、中国内ではS氏の知人を渡り歩く、列車は常に一等車利用と、厳格な条件付きだったとか。
とはいえ、中国内のみならず、まして中央アジアに至ると、予想外の出来事が幾つも起こります。現に大高さんは、ウルムチ以降の旅程において、フルハットという青年にすっかり世話になっています。また、アゼルバイジャンへの密入国を初め、途中で出会った多くの人達から助けられています。彼らとの出会いがなければ、旅を続けることは難しかったでしょう。中央アジアの旅は困難だらけ、通常ではなかなか行ける旅ではありません。ですから、この旅は凄いことです。漸くトルコに入ると、大高さんと共に、思わずホッとしてしまいます(とくに女性故、風呂とトイレに苦労していましたし)。

紀行を読む楽しみは、自分もまた筆者と一緒に旅する気分を味わえることです。まして中央アジアとなると、見ること聞くこと、もの珍しいこと一杯。そこはヨーロッパあたりの旅行とはまるで違います。
本書で意外だったのは、中国奥部、中央アジアに入っても、英語を話す人がそれなりにいること。とりあえず、英語さえなんとかなれば、何処へ行こうと何とかなりそうです。また、列車で同室になった人、行きずり合う人とも、ひとときの会話、交流も生まれます。それ故、私自身の語学力のなさが、なんと情けなくなることか。

恐怖の屋台体験(北京)/歌う中国人・踊る中国人(西安から嘉峪関へ)/死者の枯骨が道をしるす(砂漠の街々)/盲流れ新村・戸籍もない人々(中国最西域)/酒に酔い、愛に惑う遊牧の末裔たち(カザフスタン)/哀愁の街かどで(ウズベキスタン)/密入国・入国拒否の危機(トルクメニスタン)/風の街(バクー)/アジアの終わり、ヨーロッパの始まり(イスタンブール)

 


   

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