奥村美幸著作のページ


1981年福岡県北九州市生、西南女学院短期大学英語科卒。小学生の頃から客室乗務員に憧れ、2年間のアルバイト生活をしながらブラッシュアップスクールで自分を磨き、念願のJR九州客室乗務員に合格。2008年当時サブチーフとして後輩の指導にも尽力。

 


   

「九州レール・レディ Kyushu Railway Lady ★☆


九州レール・レディ画像

2008年10月
メディアファクトリー刊

(1000円+税)

  

2013/03/30

  

amazon.co.jp

嶋田郁美「ローカル線ガールズを読了したところで、この際本書も読んでしまおうと思った次第。

JR九州の客室乗務員を務めて5年目、現在サブチーフである奥村美幸さんが語る客室乗務員のあれこれ、魅力ある奮闘を語るエッセイ本。
ただ前半では「ローカル線ガールズ」のような面白さは感じませんでした。まかり間違えば廃線という憂き目が待ち構えているローカル線とは異なり、曲がりなりにもJRの一画、堂々たる鉄道会社なのですから。
それが本書ならではの魅力を感じ始めたのは、奥村さんが入社して経験した客室乗務員の為の研修制度。
入社式からそのまま11日間泊まり込みでの研修、その後所属する管区に移ってロールプレイング主体の自ベース研修。それを経て一人一人に先輩客室乗務員がインストラクターについてのOJT研修(インストラクターを「母」、研修生を「娘」と呼ぶのだそうです)。
いやはや何と厳しい研修であることか。でも一旦列車に乗務したらお客さんに相対するのはたった一人なのですから、さまありなんと思う次第。
全くの予想外で驚いたのは、JR九州の客室乗務員の多くが列車酔いに苦しんでいるということ。理由のひとつは、九州の豊かな自然の故に列車の揺れが大きいのだそうです。

JR九州で客室乗務員が設けられたのは、1987年国鉄が分割・民営化されてJR九州が発足したのと同時だそうです。JR東日本・東海・西日本と違って新幹線というドル箱路線を持たず、さらに当時高速道路整備真っ盛りの車社会であった九州故に、ビジネス客以外に観光客を取り込むため必須の戦略だったそうです。
そのJR九州の看板列車たち、かなりスタイリッシュで魅了されます。皆、
水戸岡鋭治さんというデザイナーの手によるものだそうです。
さらに幾つかの観光路線では、途中駅でしばらく停車し、客室乗務員が由緒ある古い駅舎、近くの橋梁見学を案内してくれる等のサービスも用意されているのだそうです。
そうと聞けば、JR九州の観光列車にとても乗りたくなります。
本書後半ではすっかりJR九州の観光列車、その一助を担う客室乗務員たちのサービスにすっかり魅了され、本の中で楽しんでいました。

ご案内いたします/幸せを運ぶ、ゆふいんの森/弱点を、武器に/私、レディになります/育てられて、育てあげて/観光列車は走る/だから仕事は辞められない

 


     

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