岡本和明著作のページ


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953年生、落語関係の著書多数。

 


             

●「内儀さんだけはしくじるな−目白・柏木・黒門町−」● ★★
 
(古今亭八朝・岡本和明編)

  

 
2008年07月
文芸春秋刊

(1714円+税)

 

2008/08/12

 

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芸人で名人と言われる程、型破りで、常人離れしたところがあるようですが、それは何も師匠連に限ったことでなく、内儀さんたちについても言えることらしい。
そんな訳でどの師匠も弟子たちに対して曰く、「俺をしくじっても、内儀さんだけはしくじるなよ」と言うことになるらしい。師匠を怒らせても内儀さんが庇ってくれるが、内儀さんを怒らせてしまうともう誰も庇ってくれない、と。

その中でも特に評判だった内儀さん3人を弟子達が語る、という趣向の一冊。
弟子の年代によっても、相性によっても、弟子によって内儀さんとのエピソードはいろいろ異なるものらしい。そこもまた座談の楽しさ。
また、内儀さんを通じて、そんな内儀さんを女房にした師匠の人となりが透けて見えるのも楽しい。

3人の内儀の中でとりわけ度肝を抜いてくれるのは、五代目小さん師匠の内儀=小林生代子さん
しゃがれ声で「俺、俺」と言っていたというのですから、さぞ迫力あったのでしょうねぇ。
たまたま偶然にその内儀さんが素っ裸のところを覗いてしまい、「私の裸、覗いたんだよ」と師匠に告げ口され、・・・・・・で小さん師匠に「ならいいんだよ」と言われたというエピソードは爆笑ものですが、一度見られたらそれ以後平気で素っ裸でいた、というのですから開いた口が塞がらない。
おかげで、八代目文楽師匠の内儀=寿江さんが、弟子に背中を流させるのが常だったと聞いても、もう驚きもせず。

奇人を語る内幕話は楽しい、の典型例といえるような一冊。

目白−五代目柳家小さん一門・・・・小林生代子
(語:鈴々舎馬風/柳家さん吉/柳亭小燕枝/柳家さん/八柳家小里ん)
柏木−六代目三遊亭円生一門・・・・山崎はな
(語り手:川柳川柳/三遊亭生之助/三遊亭円龍)
黒門町−八代目 桂文楽一門・・・・並河寿江
(語り手:桂文楽/柳亭左楽/柳家小満ん/橘家ニ三蔵)
お内儀さんたちの独り言
(語り手:稲田トシ(故六代目古今亭志ん馬夫人)、
     寺田貴子(十代目鈴々舎馬風夫人))

  


  

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