梶原しげる著作のページ


1950年神奈川県生、早稲田大学第一法学部卒。73年文化放送に入社してアナウンサー、92年からフリー。2002年東京成徳大学大学院心理学研究科を修了、認定カウンセラーと健康心理士の資格をもつ。

 
1.
口のきき方

2.すべらない敬語

 


             

1.

●「口のきき方」● 

   

  
2003年09月
新潮新書刊

(680円+税)

 
2003/11/02

 
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ヘンな言葉の使い方、が話題になっています。
日本語の言葉については、常日頃、私も大いに意識かつ注意していること。改めて学んでおくべしと、読み始めた一冊です。

とみに最近疑問を呈されているのは、次の言い方。
「・・・のほう」「・・・になります」「こだわり」等々。この最初の問題を“ほうほう症候群”と言うのだそうです。
そして、特に認識していなかったことですが、新米レポーターに多い、“思います連発症候群”
日本語はよく考えて、確かめて使う必要がある、と改めて感じる次第です。
ところで、「若者言葉をたくさん使う若者は、余り使わない人に比べて、自己主張能力を(中略)より強く持っている」のだそうです。気配りの精神故にあいまいな表現を駆使していますが、本質は上記のとおりだとか。まさに目からウロコ。
読んでみて初めて判ること、沢山あります。

ブラウン管言葉の「聴き方」/しゃべりの好プレー珍プレー/現代用語の非常識/若者言葉の味わい方/秘伝・口のきき方

   

2.

●「すべらない敬語」● ★★

   

  
2008年01月
新潮新書刊

(680円+税)

 

2008/03/10

 

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一応無難に使いこなしていると思っているものの、時折これで良いのか?と戸惑うことも多い敬語。マニュアル本だと堅苦しいけれど、こうした新書なら手を出しやすいと読んだ次第です。

まず説明されるのが敬語の分類。その中で目を引くのは「謙譲語2(丁重語)」というもの。これは2007年02月、国の文化審議会が出した最新の「敬語の指針」で打ち出された新たな分類の一つなのだそうです。
敬語の使い方を判り易く指導してくれる本と思っていましたが、読んでみると大違い。
最初こそ、敬語の分類・説明から始まりましたが、そのうち敬語とタメ口の比較へと話は進みます。
さらに、著者言うところの三大名人(久米宏・みのもんた・小倉智昭)の魅力ある話法の秘密を解き明かし、小泉元首相安倍前首相の比較にまで及びます。
誰もが知っている人物の具体例をもって説明されるので、とても判り易く、かつ興味尽きない。三大名人の魅力は、敬語とタメ口を自らの個性で自在に使いまわし、聞く人を惹きつけてやまないところにあると知れました。

著者の言わんとするところはつまり、単に敬語を正しく使えただけでは人として不十分で、相手によって敬語とタメ口を巧妙に使い分けることができてこそ味が有る、ということらしい。
そして同時に、ただ敬語、タメ口を使えばいいということではなく、それ以前に相手への気遣い、気持ちが篭っていないと言葉が上滑りしているだけ、ということのようです。

三大名人に、小泉元首相・安倍前首相のほか、飯島愛、渡哲也さん等芸能人の登場も目白押しのうえ、不祥事を詫びる企業トップの話し方まで漏れなくと、具体例は豊富。その部分だけ読んでも充分面白いのです。この辺り、さすがアナウンサー歴30年は伊達ではありません。
敬語の使い方という技術的なことを越えて、どう話すべきかについて啓発され、人に好感をもたれる話し方を是非身につけたい、という気持ちになったという点で、為になる一冊でした。

敬語革命、勃発す/「正しい敬語」はころころ変わる/敬語業界vs.国家/敬語は自己責任である/トムとキムはどうなのか/三大名人に学ぶ技/小泉さんと安倍さんの差/くすぶるマニュアル敬語問題/失敬と尊敬の間/お疲れ様かご苦労様か/肩書きに敬意をこめて/誉める姿勢、謝る態度

  


  

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