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「邦人奪還−自衛隊特殊部隊が動くとき− Hostage Rescue」 ★★ | |
2023年04月
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陸・海上自衛隊に設けられた特殊部隊の実戦活動を描く、フィクションではあるものの、迫真のドキュメント・ノベル。 「尖閣占拠」は、中国兵士か?尖閣諸島の魚釣島に上陸して中国旗を掲げるという異例事態。こうした時に備えて新設されていた海上自衛隊特別警備隊、藤井三佐が率いる第三小隊3名が夜の闇ついて上陸。魚釣島を奪い返します。 その1年後に発せられた命令が<邦人奪回>。 北朝鮮で軍事クーデターが発生、起こした軍部がミサイル発射を企図、発射基地近くの施設に(人質による楯という狙いか)日本人拉致被害者6名が収容されているという情報が飛び込みます。 その事態に決断を迫られるのは、日本のトップである総理大臣。 支持率回復に絶好の機会と強硬策を主張する官房長官に背中を押され、外務省の反対を押し切り、陸海自衛隊の特殊部隊を北朝鮮国内に突入させ、邦人奪回を目的とする作戦が実行されます。 邦人奪回とその支援、2作戦に投入される艦艇は5隻、航空機は6機、作戦に従事する自衛隊員は総勢 1,250名。 その結果は・・・・。 まさに迫真のドキュメント。そのリアルさはサスペンス小説を遥かに凌ぎます。これは、架空の小説ではありません、実際に起きるかもしれない事実なのですから。 実働部隊員に迷いはありません。それはそうでしょう。そのために訓練を重ねてきているのですから。 本作で日本国を守る、国民を守る、犠牲を払ったとしても断固守る、その覚悟を問われるのは、本作では総理大臣、自衛隊の幕僚長たちですが、究極的には国民一人一人である、と言うべきでしょう。 何でも米国頼みという考えでは、国の危難を乗り越えることはできない、むしろ危険であることを、本結末は暗示しています。 来るべき危難の時に備えて、いろいろ考えさせられる一冊です。 海鳴り/1.尖閣占拠/2.騒乱/3.出撃/4.帰還/エピローグ |