市口
(いちぐち)桂子著作のページ


大阪府出身、大阪外国語大学卒。漫画家、著述家、ボローニャ在住。イタリア、ベルギー、フランスを中心に漫画やエッセイを執筆する傍ら、日本の漫画・書籍を多数イタリア語に翻訳。

     


   

ボローニャ・ブックフェア−絵本の町ができるまで− ★★


ボローニャ・ブックフェア物語画像
 
2013年04月
白水社刊
(1800円+税)

  

2013/05/09

  

amazon.co.jp

ボローニャのブックフェアは、出版関係者等プロのための児童書専門の見本市であるとのこと。
本、まして児童書となれば興味津々。しかも児童書の国際見本市だというのですからなおさらです。そんな思いから本書に手を伸ばしたという次第。

何故ボローニャなのか。
元々この街では見本市が多く開かれていたのだそうです。ひとつはイタリアの中でも交通の要所であったこと。そしてヨーロッパ最古のボローニャ大学がある街ということも無縁ではなかったろうといいます。
戦後復興の中で、ボローニャは国際都市を目指す。そして商業だけではなく文化的なもの、ということで児童書ブックフェアが発案されたらしい。

第1〜2章、如何にしてボローニャの児童書ブックフェアは生まれたのか。児童書に貴重な場を与えたという事実だけではなく、ボローニャという歴史ある街の復興という発想には、心躍る思いです。
また、第3章では、ブックフェアの一部として行われたイラストレーター展が、
「ボローニャ国際絵本原画展」として日本各地の美術館を巡回するまでに至った経緯が語られます。
絵本挿絵の原画を芸術品に押し上げた功績はとても大きい。
また、1972年にはいわさきちひろさんもグラフィック賞を受賞しているといいますから、決して日本も無縁ではありません。
ブックフェアの活動によって生まれた様々な活動のことが第4章で語られています。

本書を読んでいると児童書・原画の国際的な広がり、その夢と豊かさを感じさせられて楽しい限りです。
児童書がお好きな方には、是非手に取っていただきたい一冊。

はじめに−春だ!ブックフェアだ!/1.ボローニャ・ブックフェア誕生/2.五十年史を編んだ女性たち/3.国際イラストレーター展/4.児童書をめぐる様々な町の取組み/あとがき−ボローニャへ、ようこそ

    


     

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