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●「裕仁皇太子ヨーロッパ外遊記」● ★★ |
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1998/11/14
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はじめての試みとして実行された、裕仁皇太子(昭和天皇)のヨーロッパ外遊の経緯とその意義をまとめた本です。
皇太子の外遊を強く推し進めたのは山県有朋ら元老、首相原敬たち。そこには、明治天皇以後の天皇のあり方として立憲君主を目指すべきという先見性、それと共に皇太子の見識、人格を開放的に高めるべきという革新的な考えがあったということです。 昭和天皇を考えるとき、これまで戦前・戦後というふうに区分けしていました。でもこの本を読むと、外遊中に芽生えたであろう“立憲君主”という考えは、その後もずっと一貫していたのだろうと思います。ただ、軍部、戦争がそれを生かすことを許さなかった。昭和天皇が望んだ姿は、きしくも敗戦、アメリカの強制により果たされることになったのです。 |