リチャード・シュヴァイド著作のページ


Richard Schweid 米国テネシー州出身。様々な職を経て現在ジャーナリスト。主に生物・科学分野で活躍。現在はスペインのバルセロナにて執筆活動中。

 


 

●「ゴキブリたちの優雅でひそやかな生活」● ★★
   原題:"THE COCKROACH PAPERS"           訳:西田美緒子

 

 
2002年7月
徳間書店刊
(1600円+税)

 

2002/12/22

ゴキブリというと、まず嫌!、気持ち悪い、という気持ちになりますが、本書はなかなか面白い一冊。

なんと言っても、ゴキブリというのは3億年も前から生存している生き物、その生存メカニズムはまさに驚嘆に値します(「ゴキブリの性生活」)。これじゃあ、いくら一生懸命退治しても、ゴキブリがいなくならない訳です。そのうえ、ゴキブリに感嘆するばかりか、昆虫としての愛嬌さえ感じてしまうのは、著者の語りの上手さでしょう。
といっても、著者はゴキブリを礼讃している訳では有りません。「ゴキブリよばわり」にも、ゴキブリが運ぶ病原菌についても言及しています。その一方で、何処にでも潜り込めるゴキブリを、災害救助に利用しようという構想も紹介しているのですから、本書内容の多彩さは、まこと面白いばかり。本書を熟読すれば、ゴキブリについて博識になること間違いなし!
ただ、何故そんなにゴキブリが出るのかというアメリカ、ゴキブリを食べる話などには、思わずオェッ。

本書の楽しさは、筆者が様々な職歴、生活場所を転々とするなかで、否応なく直面することになったゴキブリを、ユーモアを交えて語っているところにあります。特に、大きなマダガスカルゴキブリをタッパウェアに貰って、持ち運びに苦慮する辺り、ユーモア小説のような可笑しさがあります。

※なお、本書にて紹介されるゴキブリは、チャバネゴキブリ、ワモンゴキブリ、トウヨウゴキブリ、チャオビゴキブリ、クロゴキブリ、マダガスカルゴキブリ、マデイラゴキブリ

一寸のゴキブリにも五分の魂/ゴキブリよばわりは最大の侮辱/ゴキブリの性生活/ゴキブリ家の食事/ゴキブリは病原菌のデパートか?/果てしなき戦いはつづく/災害救助ゴキブリの夢

 


  

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