リリアン・ロス著作のページ


Lillian Ross  米国ニューヨーク州生。1945年から87年まで、「ニューヨーカー」にスタッフ・ライターとして所属。93年同誌にカムバック。
ヘミングウェイを追いかけた「Portrait of Hemingway(パパがニューヨークへやってきた)」、ハリウッド映画をテーマにした「Picture」、チャップリンの思い出を綴った「Moments with Chaplin」等、多数の著書あり。

 


 

●「ニューヨーカーとわたし−編集長を愛した四十年−」●   
    原題:“HERE BUT NOT HERE”




2000年12月
新潮社刊
(2300円+税)

 

2001/04/24

本書を読むには、まず「ニューヨーカー」という雑誌について知る必要がありそうです。それによって、本書への興味は随分と異なることでしょう。
あいにく私は知らなかったのですが、“文芸誌+ジャーナリズム”という内容の文芸週刊誌、といったもののようです。また、本書から、非常に多くの読者から高い信頼を得ている、洒落た質の高い雑誌、という印象を受けます。
読者ならびに執筆者から「ニューヨーカー」が高い評価を得ていた背景に、編集長個人への高い信頼があったようです。その2代目編集長が、本書で語られるウィリアム(ビル)・ショーン
半世紀あまりを「ニューヨーカー」に捧げ、常に公平かつ礼儀正しい誠実な姿勢が好感され、「ミスター・ショーン」と敬意をもって呼ばれた人物だそうです。

本書の著者は「ニューヨーカー」で長く勤め、スタッフ・ライターとして名も高かったリリアン・ロス
この回想記は、彼女とショーンが40年という長きにわたる愛人関係にあったことを公表する内容でもあり、読者に大きな衝撃を与えたとのことです。
本書は、ロスとショーンの関係を中心に書かれていますので、無視することはできないものの、その是非を問うものではありません。
本書における興味は、あくまで「ニューヨーカー」という雑誌とその編集長であったショーンがどのような人物であったか、それを知ることにあります。そして、その期待に本書は充分応えてくれている、と思います。

 


   

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