SF小説をはるかに超えた壮大なスペース・オペラ。
人命の危機、地球環境の危機、地球自体の危機、太陽の危機、太陽系のそして銀河系の危機、・・・・。
結果的に地球が滅亡する9つのシナリオを、やさしく、しか天文学的に、そして懐を大きくして語った本。
本書における主人公は、もはや人間でも宇宙人でも宇宙船でもなく、数多ある星々、それも巨大な恒星たち、究極的には銀河系そのものが主役。
冒頭、小惑星や彗星が地球に衝突する可能性を語った「ターゲットは地球」は、まさに山本弘「地球移動作戦」の世界。SF小説で読んだ所為か、リアル感がありました。 そして、ガンマ線による危機。1997年に観測されたGBR(ガンマ線バースト)は、何と90億光年という気が遠くなるような距離から飛んできたのだという(宇宙の果て迄の距離の半分以上とか)。
章を追う毎に、主役は、スケールはどんどん大きくなっていきます。
太陽が、地球を丸焼きにしてしまう赤色巨星になるのは数十億年後・・・・、我々が属する銀河系の全恒星が死に絶えるのは数十兆年後、という。
それを著者は、我々が将来目撃できると言わんばかりに語っていくのです。
時間の観念がどんどん狂っていったからといって、何ら不思議ではありません(笑)。そして時折ジョークを織り込む著者の語り口、結構愉快なのです。
天文学上の研究を元にきちん、かつ面白く解説した分厚い一冊ですから、理工系の方なら苦にされないのかもしれませんが、文系の私としては頭がついていけなくなってしまうことも度々。
でも気にすることはありません、どんどん飛ばし読みしてしまえばいいのですから。飛ばし読みしてもポイントを外さなければ、本書の面白さを十分味わうことができます。
そして、著者の理知的でユーモラスなジョークも。
ターゲットは地球−小惑星や彗星の衝突/太陽に焼かれて/超新星の脅威/宇宙の溶接パートナー−ガンマ線バースト/底なしの穴、ブラックホール/エイリアン・アタック!/太陽の死/ブライト・ライツ、ビッグ・ギャラクシー/すべての終わり
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