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Bryan Mealer ジャーナリスト、米国テキサス生。AP通信のキンシャサ支局長としてアフリカ報道に従事した経験をもち、「エスクァイア」等の雑誌に執筆。ニューヨーク州ブルックリン在住。 |
●「風をつかまえた少年」● ★★ |
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2010年11月 2014年12月
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マラウイって知っていますか。私はそういう名前の国があることさえ、全く知りませんでした。 その本人であり本書の著者でもあるのが、マラウイの農村部に住むウィリアム・カムクワンバという少年。 本書前半では、彼が住む国がどういうところか、そして雨が降らず国民がみな飢饉に苦しんだ時の様子が描かれます。著者の一家もその例外ではなく、そのおかげで折角入った中学校も授業料が払えず彼は退学することになります、2度までも。 そんな境遇のウィリアム、初等学校に作られた図書室に毎日のように通い、本により独学で勉強に励みます。貧しさから抜け出すためにはまず電気が必要。そして計画したのが、本からヒントを得た風力発電によって電気を作り出そうということ。 そのために廃品漁りをし続けるウィリアムを、周囲の人間たちは嘲笑いますが、親友2人の協力を得て何とか発電に成功します。その時から、ウィリアムに広い可能性が開かれていく。 ウィリアムが学ぼうとするのは、家族、そしてマラウイの人々の暮らしを良くしたいと願う気持ちから。 「ぼくたちみんなが何かをつくって動かせば、マラウイを変えることもできる」というウィリアムの言葉には胸打たれます。 マラウイと日本の文化度を比べてみても意味ないこと。 それより、上記のウィリアムの言葉こそ尊い。昔の日本も、そうした思いから勉学に勤しんだ人たちが今の日本の基礎を作ったのではないでしょうか。 「何かを実現したいと思ったら、まずはトライしてみることだ」というウィリアムの言葉、現実に彼のしたことが全てを物語っています。 プロローグ/魔術の支配する村で/父さんの思い出/ぼくの相棒、カンバ/科学に目覚める/マラウイを襲った飢饉/食べものがないクリスマス/中学校に行けなくなる/待ちに待った収穫/図書室で出会った一冊の本/発電機づくりに取りかかる/電気を起こす風/トラブルと改良/迷信と戦う/教育がチャンスを与える/トライして、やり遂げる/エピローグ |