解説によると、「本書は、著者アテナイオスが、彼の友人でローマの騎士階級に属するラレンシスという人がある日催した宴のありさまを、やはり彼の若い友人であるティモクラテスに報告した手紙ということになっている」そうです。
「前菜から始まって、次々に出される料理を楽しみながら、その料理の材料や料理方法や食器や食べ方等々について、宴に招かれた客たちが薀蓄を披露する」という、長大な対話篇。
約 500頁と分厚い一冊ですが、これでも本来の原書の15%に過ぎないらしい。いやはや、ブリア・サヴァランの「美味礼讃」を遥かに凌駕する書物のようです。
本書はアリストファネスやギリシアの劇作家、プラトンらがこう言った等々、客たちが自分らの知識を競って披露している観があるために、当時の社会風俗や文芸作品の一部を読むことともなっており、極めて興味深いものがあります。
その一方で冗長なところもあり、まとまりも悪く、結局何が何だかよく理解できないまま読み終えてしまった、というのが正直なところです。
この時代の文芸にかなり興味をもっていないと読み通しにくいのではないか、という気がします。
※印象に残った章は次のとおり。
「冷たい飲み物」、
「スパルタの宴会」:貧弱な暮らし、
「クレオパトラとアントニウスの宴」:クレオパトラの華麗さ、
「魚屋」:威張りちらしている、
「穴子」、
「料理人の自慢風大演説」、
「酒の割り方」、
「なぞなぞ」、
「少年愛について」:アレクサンダーの賢明さ、
「鳥さまざま−雉」、
「鳥さまざま−孔雀」
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