読書のおと（芳崎せいむ作品のページ）

●｢鞄図書館１ Stories of the Library in a Bag｣●　★★

鞄図書館画像

2009年10月
東京創元社刊
(680円＋税)

　　
2009/11/21

　　
amazon.co.jp

「司書さん」と呼ばれる男性が持ち歩くその鞄は、あらゆる書物を所蔵し、どんな本でも揃っているという、“鞄図書館”。
その鞄の中には、大きな図書館の世界が広がり、司書さんでさえロープ無しに入り込んだら二度と現世界には戻ってこれない、またロープの届く範囲でしか入り込めないという。
そんな司書さんと鞄図書館が、本を読みたい人たちのために旅して回る途中で出会った様々な出来事を描いた、連作ストーリィ。

ただし本書、小説ではなく、コミックです。
コミックであるが故に、１篇１篇はちょっとしたひとコマを語る、あっさりとしたストーリィ。
それでもこの鞄図書館、その不思議な世界を語るのは、小説よりもコミックの方が相応しいのかもしれないと、納得する気分。

鞄図書館とはいえ、図書館であるからには、ストーリィの殆どは本絡み、人々の本に関わる思い出が描かれています。
なお、鞄図書館がしばしば引用する言葉はゲーテからのものが多いので、ゲーテが好きでない方には不向きかも。

普段読んでいる小説とはまた違った味わい。それなりに楽しめました。