よしもとばなな作品のページ


1964年東京生、日本大学芸術学部卒。

  
1.
ハネムーン

2.
どんぐり姉妹

  


             

1.

●「ハネムーン」● 

  

1977年02月
中央公論社刊

中公文庫化

   

2000/05/05

吉本さんの本を読むにあたって、何故この作品から?と言うと、図書館の持ち帰り自由本の中にあったからです。
題名からすると、若々しい男女のストーリィと思うのですが、本作品はむしろ正反対です。友人に恵まれず、お互い寄り添うように育ってきた
まなか裕志の2人。2人だけの世界に篭ってしまっているような閉塞感があります。
高校卒業してすぐ、他の選択肢を考えることもなく結婚した2人。ハネムーンと言うべき最初の2人での旅行は、逃げ出したもの。
しかし、2回目の旅行で2人は、オーストラリアに住むまなかの実母のもとを訪れます。そこで、初めて2人は外の世界へ芦を踏み出したように感じられます。
そんな風にこの作品を解釈しましたが、正直言ってどのようにこの作品と向かい合えばよいのか、途方に暮れた気がします。感性の違いと言ってしまえば簡単なのかもしれませんが。

             

2.

●「どんぐり姉妹」● ★★


どんぐり姉妹画像
 
2010年11月
新潮社刊
(1300円+税)

2013年08月
新潮文庫化

  

2010/12/30

  

amazon.co.jp

「私たちにいつでもメールをください」 「時間はかかっても、お返事をします」
「だれかにメールしたいけれど、知っている人にはしたくないというときにちょうどいい存在」
というゆるい理念を掲げて、姉妹2人きりで始めたのが、「どんぐり姉妹」のサイト。

この姉妹、幼い時に両親が事故死し、その後静岡にいる父方のおじさん夫婦の元、ついで母親と仲の悪かった母方のおばさんの元で育つ。その後、姉自身が交渉して父方の祖父の養女となり、祖父の介護もしながら成人するという経緯をもつ。
姉は
どん子、30代向けの女性誌でライターの仕事をしている、恋多き女性。妹はぐり子、どちらかというと家に引きこもり。

著者のよしもとさんは、この2人の姉妹を
「徹底的に壊れている」と言っていますが、そうなのだろうか。余りそうした印象は受けません。
ただし、この2人、生と死にはまされた時間の中で、ゆらゆらと漂っているのを楽しんでいる、という風があります。
姉のどん子は、恋愛だけを限りなく追い求め、妹のぐり子は夢の中で幼い頃の恋に想いを馳せる。
そんな2人が、先に進むことなく、お互いにバランスを取りながら、今に留まっているという感じ。
脱力的な作品ですが、気が休まると言われればその通り。
ネット上の「どんぐり姉妹」も、結局はそんな2人の自己吐露の結果、という気がします。

                


   

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