米田夕歌里作品のページ


1980年千葉県生、早稲田大学第一文学部文芸専修卒。2010年「トロンプルイユの星」にて第34回すばる文学賞を受賞。

 


               

●「トロンプルイユの星           すばる文学賞

 
トロンプルイユの星画像
 
2011年02月
集英社刊
(1100円+税)

   
2011/04/10

  
amazon.co.jp

零細イベント企画会社に勤めるサトミ、自分も周りにあったものが、少しずつ消えていくことに気づきます。
最初は菓子という何でもないものだったのですが、次第に、人、仕事、そしてついには記憶が。
上司である
久坂、2人だけの時に、それはすべて自分の所為だ、すまないと詫びる。
そして、そうした出来事と相応するようにサトミの前に現れたヘッドハンティング会社の社員だという男=
遠野

ファンタジーなのか、SFなのか、それともサスペンスなのか、とらえどころに苦慮します。
題名の“トロンプルイユ”とは、美術用語で「だまし絵」のことだそうです。

どこからどこまでが真実なのか、虚構なのか。日常生活の中に、そんな危うさが潜んでいることを描いたストーリィということですが、納得感が得られないまま読み終わってしまったのが、残念なところ。
危うさがあるからといってどうしたら良いのか。一人一人の人間にはどうしようもないことだとして、何に繋がるのか。投げかけだけで終わってしまったという印象なのです。

      


   

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