柳井政和
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1975年福岡県北九州市生、熊本大学理学部生物科学科卒。ゲーム会社勤務を経て、現在クロノス・クラウン合同会社代表社員として、ゲームやアプリケーションの開発、プログラミング系技術書や記事の執筆を行う。2016年「裏切りのプログラム−ハッカー探偵 鹿敷堂桂馬−」にて小説家デビュー。

  


       

「顔貌売人−ハッカー探偵 鹿敷堂桂馬− ★☆


顔貌売人

2017年08月
文芸春秋刊

(1750円+税)



2017/09/06



amazon.co.jp

私は本作が初読みですが、「裏切りのプログラム」に続く“ハッカー探偵・鹿敷堂桂馬”第2弾だそうです。

口下手で不器用な情報技術者の転職を斡旋する会社“コードエージェンシー”を起業した
安藤裕美・28歳は、恩義ある学生時代の友人=園村恵子から突然、ネット関係のトラブルについて相談に乗って欲しいと頼まれます。
恵子の妹である
幸子、学生時代に騙され脅迫されてAVビデオに出演。化粧で本人とはバレない筈と思っていたのですが、「AV女優顔探索」サイトで顔を識別認識され、高校の同級生から問い合わせメールを受けたという。そのため幸子は勤務先である銀行も無断欠勤、顔を見られるのを怖がり家に閉じ籠ってしまっているのだという。
相談された安藤が、事業の片腕ともいうべき
三木原百合から勧められたのは、かつて自社の危機を救ってくれた情報技術者=鹿敷堂(かしきどう)桂馬に助力を請うこと。
強引に協力を承諾させられたその鹿敷堂、ブラックな情報技術まで使いつつ、犯人の特定、顔データの抹殺、犯罪の撲滅に挑むため、行動を開始します。

脅迫等の犯罪は昔からあったこと。しかし、今やネット技術の高まりによって、ちょっとした油断や判断ミスによってとんでもない窮地に追い込まれかねない、という現実がここにあります。
その一方、違法行為を“正しいやり方”ではない方法で叩き潰す鹿敷堂という存在も不可欠なのかもしれませんが、情報技術者をそういう状況に追い込まないための安藤たちのような存在がまず大切であると感じます。

ネット技術の怖さに関心がある方にとっては、リアルにその怖さを体験できるストーリィ。本シリーズ、まだまだ続きそうです。

第1章 顔認識/
第2章 顔泥棒・・・2.1発端 2.2被害者 2.3依頼 2.4解析/
第3章 顔貌売人・・・3.1探索 3.2再燃 3.3調査 3.4希望 3.5絶望 3.6仮設 3.7計画 3.8攻勢/
第4章 人面戦争・・・4.1改良 4.2実証 4.3追跡 4.4後日譚

  


  

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