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1.ワンちゃん 2.時が滲む朝 |
●「ワンちゃん」● ★★☆ 文學界新人賞 |
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2010年07月
2008/08/28
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「時が滲む朝」は民主化運動に関わった2人の中国人青年を主人公としていましたが、本書の主人公はヴァイタリティ溢れる中国人女性の王愛勤(日本名:木村紅)。 元夫から逃げ出すようにして日本人の旦那と結婚し、姑の世話をしながら、お互い農村暮らしの日本人男性と中国人女性との集団見合いを取り持つといった、八面六臂の活躍中。 どんな困難な状況に置かれても強い気持ちで生き抜いていこうとするワンちゃんの姿には、生きるということの原点を見る思いがします。そして同時に、ワンちゃんや彼女が仲介する中国の若い女性たちに心からエールを送りたい気持ちになります。 「老処女」は、親の価値観を忠実に守って生きてきた挙句、目標とした博士号も取得できず、恋愛もせず結婚もしないまま日本で45歳を迎えてしまった中国人女性=万時嬉(ワンシューシュー)を描いた作品。 ワンちゃん/老処女 |
●「時が滲む朝」● ★★ 芥川賞 |
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2011年02月
2008/08/07
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天安門事件を背景に、民主化運動に加わった2人の中国人大学生の辿った道を描いた作品。
1988年、親友同士である梁浩遠と謝志強の2人は難関の試験に見事合格して秦漢大学に進学する。 今まで全く知らなかった中国人青年たちの理想と挫折、彼らの辿った道を大きな視点からとらえた本作品はとても鮮烈です。 それにしても浩遠と志強たちは、何と純真で、何と無防備であったことか。 2人の青年の軌跡に感銘を覚えると同時に、一人一人の行動を越えて動く中国国家、中国社会、ひいては世界の大きなうねりを感じる、本書はそんなスケールの大きな作品でもあります。 |